【ラウンド・オブ・8】
およそ1時間のインターバルを挟み、ラウンド・オブ・8が行われる。ラウンド・オブ・14の開始時には気にならなかった風が少し強くなる。
【Heat8】マティアス・ドルダラー vs マイケル・グーリアン
実は時差ボケと風邪気味でハンガーでの表情もやや冴えなかったドルダラー選手。1度目のVTM直後ゲート4通過時の高度違反(TooHigh)と、 ハイGターン前のゲート6でインコレクトレベルと2度(+4秒)のペナルティで59.845。グーリアン選手は4秒の貯金を使いエンジン負荷を掛けずに57.515。2.33差で勝ち上がる。
【Heat9】ミカ・ブラジョー vs マルティン・ソンカ
昨年デビューのブラジョー選手、ラウンド・オブ・8進出は珍しくなくなったが、突破は未だ無い。今では唯一となったMXS-Rはモノコック構造の機体で軽量などの改造は難しい。が、スラロームではしなる主翼が武器となり、タイムを稼ぎ出す。56.694と自己ベスト近いタイムを刻むが、ソンカ選手は56.132と今日イチのタイムをここで叩き出した。
【Heat10】フランソワ・ル・ボット vs ピート・マクロード
ル・ボットは果敢に攻めるが、ハイGターンの際に小回りをし過ぎた事でスピードを殺してしまい、57.226にとどまる。マクロード選手は手を抜くことなく56.002とこのラウンド最速のタイムで勝ち上がった。
【Heat11】ファン・ベラルデ vs マット・ホール
ベラルデ、スラロームでリズムが悪く機体が上下してしまい57.578にとどまる。2回目のVTMで失速気味となり伸び悩む。ホール選手はスラローム部分の繋がりが良く、56.29 とベラルデ選手を大きく引き離した。
【ファイナル4】
風の強さはあまり変わらないが、気温が下がる:空気抵抗の低い機体の選手がより有利になる。機体の開発が進んでいるといわれている4名(機)の中では、マクロード選手にとっては一層の無理を強いられそうだ。また、飛行はラウンド・オブ・8の勝ち抜け順なので、前に飛ぶ選手の方が有利といわれている。
グーリアン選手、3戦連続ファイナル4進出の安定感を見せて56.695で暫定トップに立つ。ソンカ選手、序盤リードしながらもハイGターン前のゲート7でインコレクトレベル!これではグーリアンを越えらない。58.443で2位につける。
マクロード選手、ゲート7で動きだしが早過ぎ、インコレクトレベル!ソンカ選手も越えられず58.639。グーリアン選手の2位以上、ソンカ選手の表彰台が確定。不利と云われる最終飛行者ホール選手、乾坤一擲のフライトはハイGターンだけで0.8秒近いタイムを稼ぎ出し、56.376で逃げ切った!
ホール選手にとってはカンヌに続いて2連勝でチャンピオンシップでトップに立った。また、通算6勝目で室屋選手(5勝)を抜いて、現役2番目の勝利数である。過去に室屋選手が「2人の怪物」と呼んだうちの一人。16年末の不翻意な機体乗り換えから1年。遂に怪物が覚醒した(もう一人の怪物は最多勝で現解説者のポール・ボノム氏)。
2位のグーリアン選手は開幕戦の優勝の後、2戦連続での2位。チャンピオンシップのトップは優勝回数でホール選手に譲ったが、ポイントでは36で並び依然としてポイントリーダーの座を死守している。
室屋選手はノーポイントだが、3位を守った。但し、昨年最期迄チャンピオンを争った最強のライバル、ソンカ選手が同ポイント(19pts)で並んだ。
次戦は、6/22,23ハンガリーのブダペスト。ドナウ川上に掛かるセニーチェ鎖橋の下をくぐってスタートする伝統のコースで開催される。
(川崎BASE)