【マツダ・CX-3】「ライトサイジング」化された1.8Lクリーンディーゼルエンジン

一方、マツダのエンジン開発を担う人見光夫氏は、以前からダウンサイジングに否定的な見解を述べていて、アウディなどよりも先に学会などで「ライトサイジング(排気量適正化)」について触れ、以前からカタログ燃費よりも実燃費を重視するマツダでは、「スカイアクティブ」エンジンで実現してきたといえるでしょう。

今回、CX-3のディーゼルエンジンが1.5Lから1.8Lに排気量を拡大したのはその好例といえるもので、とくに年々厳しくなる規制(エミッション)も考えるとこうした流れは加速しそう。

具体的には排気量アップによる全域EGRの活用で、適正な排気量にすることで高負荷時のNOx低減が可能になっています。さらに高応答インジェクター(4段噴射のG4P新型ピエゾインジェクター)の採用で、壁面熱伝達損失の低減、燃焼機関短縮を実現し、熱効率の改善が図られています。

排気量拡大で気になるのは重量増ですが、1.5L比でインターナル部品の300g軽量化を実現。1.5Lのノウハウを活かして形状を最適化、クランクシャフトでは鍛造の製造工程改善による軽量化、ピストン/コンロッド軽量化によるカウンターウエイトの軽量化が盛り込まれ、エンジンのトータル重量は1.5Lと同等レベルとのこと。さらにDPF機能を進化。排気量アップにより増えた空気を使ったDPF再生性能改善(実燃費向上)が盛り込まれています。

排気量が増えても燃費が向上するのは、より均質なリーン化により熱効率向上が図られるためで、低負荷域から高負荷域まで大幅な燃費向上に貢献しているそう。もちろん、排気量拡大によるトルクアップ(最大トルクは変わらないものの、2000回転台後半から5000回転くらいまでのトルクカーブが改善)も果たされています。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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