36周目に最初のピットイン。ここはすばやくピットアウトしたいところでありますが、なんと左リアタイヤの着脱に手間取るというトラブルが発生! ピット作業時間がかなり長くなってしまい、せっかく積み上げた順位を大きく落とすことになってしまいます。
ピットアウトした道上龍選手は左リアタイヤを気にしながらの走行となりますが、39周目にはトラブルなしと判断しレーシングスピードにマシンを上げていきます。しかし、そのスピードは本来のものではないような印象。
その秘密は次のピットで明らかになります。なんとリアタイヤのみの2本交換でピット時間を短縮したのです。
燃費に若干の難があるHONDA NSX GT3。給油には思いのほか時間がかかるという悩みを抱えているのですが、その給油時間をカバーするためとリアタイヤのみの2本交換として作業時間そのものを短縮するために、道上選手は極端にタイムを落とさないようにしながらも燃費走行とフロントタイヤをいたわる走りの両立を果たしていたのです。まさに職人技!
その甲斐あって、一時は19位まで落ち込んだ順位を8位にまで上げることに成功!最終的に8位でチェッカーフラッグを受け、ドライバーズポイントで3点、チームポイントで6点と、Modulo KENWOOD NSX GT3は2戦目にしてポイントを獲得したのです。
レース後に道上竜選手にお話をうかがうことが出来ました。
今回のレースはいかがだったでしょうか?
「僕自身は久しぶりの富士のレースを走って完走できたのは、まぁよかったですね。NSX GT3は全開で走ると他のGT300に比べてちょっと燃費が悪いので、給油時間などを考えると僕のスティントで燃費走行を意識しなくてはいけなかったですね。また、2回目のピットではリア2輪交換というプランでしたので、フロントタイヤを減らさないように、燃費を意識しながら走るという難しいことをしていました」
大津弘樹選手にもお話をうかがっています。
「スタートドライバーというよりもSUPER GTの決勝レースが初めてなので、スタートはかなり緊張していました。道上さんから周りについていけばいいよといわれていたので気が楽にはなっていたのですが、中段の順位はクラッシュも多いというのはどのレースでも同じなのでスタートしてからは最初から前へ出て行こうと思っていました。その時は特にタイヤとかも意識していなかったですが(笑)。その他はやはり燃費を意識してアクセルを早めに戻すとか、フロントタイヤをこじらないとかは意識していました。」
道上選手からみて大津選手はどうでしょう?
「スタートから速くて、ポジションも6位まで上げてくれたんですごくいい走りをしてくれたし、最後のスティントも前にランボルギーニがいたので、あれも抜いてほしいな、と思っていたら見事にヘアピンで抜いてくれたし、本当にいい走りをしてくれています」
最後に道上選手に、次戦鈴鹿の意気込みをうかがいました。
「先日の鈴鹿のテストではあまりいい結果を残せてはいませんが、今回のデータからかなり詰めていけると思っています。今回も大津(選手)が6位まで上げてくれて速さも見せることが出来たし、大津(選手)も僕も鈴鹿がホームコースなのでいい結果が残せるようにします」
次戦の鈴鹿は昨年までの1000kmとは違って300kmというレースフォーマット。スプリント的な要素もあるというレースでModulo KENWOOD NSX GT3はどんな走りを見せてくれるのでしょうか?次戦もModulo KENWOOD NSX GT3から目が離せません。
(写真:吉見幸夫、松永和浩 文:松永和浩)