3番手はベテランドライバー、津々見友彦。いつやんだか忘れていた小雨が、ここになってまた降ってきた。しかし、ドライバーは快調に走らせる。3周めには259.45km/h、10周めには最高の259.92km/hを記録した(この頃、小雨が大粒に変わったがすぐにやむ)。ラップ平均でも連続250km/hオーバーだ。あっという間に15ラップが終わる、ピットイン。
C240は快調。エンジンの水温、油温、特別にミッションとデフに装着されたオイルテンプも安定した数値を示している。一番気になったタイヤだが、タイヤ温度はフロント左右とも55度と、まったく異常なし。だが、念のため交換を行った。
いよいよ、ドライバーも2巡め。今後はラップ速度を一段と高めるよう指示が出る。初乗りではガスが濃すぎていまいち吹け切らなかっただけに、Daiの走りにも気合が入る。
しかし、交替して5周めに異音と共にC240はピットに戻ってきた。誰よりも早く、長谷川社長、松村チーフメカがマシンに駆け寄った。ガラガラッという大きな異音は、ミッション部分から発生していた。マシンをチェックした松村メカが横に首を振る。「じゃあ、ミッション乗せ換えるか!」と長谷川。しかし、それは即時というわけにはいかない。しばし沈黙が流れる。そしてC240のエンジンキーが切られた・・・。
後でバラしたところ、インプットギヤが破損していたという。計測断念時間、AM7:30。
さぁこれから本格的にペースアップするゾ!という矢先である。エンジンが全く快調だっただけに心が残る。しかし、振り返ってみて、実走行時間1時間09分18秒46、52周のラップ平均速度242.83km/hは、掛け値なしの大成果といっていいだろう。
スーパーソアラC240、そのニューコンセプトは今回のトライアルで完結を見たのではない。まさにこの耐久への挑戦で、今、そのスタートを切ったのだから……
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この1時間+α、超高速で走り続けたソアラC240。80年代中盤の時代に、です。一発キメればいいだけではない、耐久性をも併せ持たせる様々なパーツ開発の中、HKSによるこのチャレンジはさすが大チューニングメーカーですね! 次回その4では、この高速耐久をピットから見守ったOPTスタッフからの印象を聞いてみましょう。
[OPTION 1984年12月号より]
(Play Back The OPTION by 永光やすの)