中高生が描く斬新な自動車像。カーデザインコンテストが未来のクルマを創造する!

乗客が癒しを感じられる「癒バス」でカーデザイン賞(高校生の部)を受賞した岩片智君(都立工芸高等学校1年・写真下・上段)は、自身の作品についてこう語ってくれました。

「バスの外観は、情報量を減らして街に溶け込むようシルバー1色のボディにしました。自動運転を象徴してフロントは全面ガラスとし、サイドは室内のテクスチャが生きるよう上下に狭いガラスで、あたかも風景を切り取るイメージに。ウッドの内装は、最近の豪華寝台列車にインスパイアされたものです」

また、ボディに絵画を投影するという大胆な発想の「SKETCH」で審査員特別賞を受賞した鈴木優里香さん(女子美術大学付属高等学校2年・写真上・下段)は、こう感想を語ります。

「私は印象派の絵画が好きで、それを生かした提案を考えました。クルマにモネや北斉の絵が映ったら面白いし、直接ボディに描くのも楽しい。ただ、今日の講習会では、クルマは単に表面上ではなく、機能やしくみを理解して、その制約の中でデザインすることに醍醐味があることを知りました」

いま学生のプロダクトデザイナー志望の現場では、雑貨や文具などの小物人気が高く、家電やクルマといったかつての花形業種に目が向かないといいます。より身近なモノに興味が移る傾向がある中で、クルマの魅力をどう伝えていけばいいのでしょうか。

未来への夢を語ることはもちろんですが、そのためには「いま」のクルマにこそ若者にアピールできる魅力が必要なのかもしれません。

第6回カーデザインコンテスト受賞者

「ダビンチ賞」
中学生の部 「未来の消防車」三浦萌(神戸市立広陵中学校2年)
高校生の部 「Smart7」高木海斗(熊本県立大津高等学校2年)
「カーデザイン賞」
中学生の部 「air(エアー)」沖林和幸(神戸市立広陵中学校3年)
高校生の部 「癒バス」岩片智(東京都立工芸高等学校1年)
「審査員特別賞」
「SKETCH」鈴木優里香(女子美術大学付属高等学校2年)
「カーデザイン大賞」
該当者なし

(すぎもと たかよし)

この記事の著者

すぎもと たかよし 近影

すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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