【週刊クルマのミライ】新型リーフのパワーアップにはインバーターの冷却強化が効いている

電気自動車は冷却する部品(エンジン)がないからラジエーターグリルは不要なのだ! という意見もありますが、インバーターやモーターの冷却は重要です。ついでに言えば、バッテリーの温度管理も性能を維持するためには欠かせない要素。

日産の電気自動車や電動車両においてはインバーターなどが水冷で、バッテリーは空冷となっていますが、将来的にはいずれも水冷になる可能性も否定できません。もちろん、水冷は重量増になるので、メリットとデメリットをはかりにかけて、結論付けられることになるでしょう。

なお、リーフの最高出力アップについては、従来通りの「電流制御」と新しい「電圧位相制御」という2つの制御を組み合わせて使っていることも効いています。「電圧位相制御」というのは、その時点におけるバッテリーの最大電圧に固定して、駆動電圧波形をずらすことで出力をコントロールするというもの。これにより電圧利用率を向上させ、高回転域における出力をアップさせています。

発進時や低速域では「電流制御」、中高速域で「電圧位相制御」を使うことで、旧型と同じモーターを使いながら最大トルク320Nm、最高出力110kWまでパフォーマンスアップしたリーフ。また、最大トルク320Nm、最高出力100kWを実現したセレナe-POWER。いずれもモーターの上部にレイアウトされたインバーターを、パフォーマンスアップの進化ポイントとして注目すべきといえそうです。

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この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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