日産のワンペダルドライブ、その最新・最強バージョンがリーフの「e-Pedal」

まずリーフとノートe-POWERのワンペダルドライブ時における最大減速Gを比べると、リーフが0.2Gなのに対してノートは0.15Gとなっています。それだけ、リーフはしっかりと減速できるというわけです。

「毎日の通勤でリーフ(e-Pedal)を使ってもらうという実証実験をしたことがあります。そうすると非ワンペダルドライブのクルマに対して、e-Pedalではブレーキ操作回数が90%も減ることがわかりました。ワンペダルで市街地走行することは現実的にドライバー負担を軽減できるのです。そして我々としては100%ワンペダルで運転すべきだとは思っていません。ワンペダルでスムースに運転できる領域が広がっていくことは目指していますが、ブレーキ操作が必要なシーンもあると考えています」

新藤さんは、このように話してくれましたが、アクセルペダルを戻す操作で、これだけの減速Gを出せるシステムをコントロールするというのは特別なテクニックが必要と感じるかもしれません。しかし、実際に運転してみると、違和感のないドライビングが可能です。それは、なぜでしょうか。

新藤さんは次のように言います。

「アクセルペダルでリニアに加減速を調整できるようにコントロール性の作り込みには時間をかけています。また、速度などに応じて加速と減速の切り替わるアクセル開度のポイントも変えています。こうすると、実際には乗りやすいのです」

なるほど、ペダル操作に対して一定の反応でなければ乗りづらいと想像してしまうのは間違いで、人間の感じるリニアリティとデジタル的なリニアは異なるというわけです。そして、リーフのe-Pedalにおいては回生ブレーキとメカブレーキを併用しているのが特徴ですが、電気自動車においては回生ブレーキによってバッテリーを充電することは航続距離の伸長に効果的ですから、できるだけ回生ブレーキを使う領域を拡大したいものです。

「そこでギリギリまで回生ブレーキだけを使うように制御していますが、停止保持のためにはメカブレーキは必須です。しかし、回生ブレーキで停止まで減速して、そこからメカブレーキを使うとブレーキの受け渡し時にカックンブレーキのようなふるまいが出てしまいます。そこで、停止寸前で回生ブレーキとメカブレーキをミックスした状態とすることでスムースにブレーキの受け渡しを実現しているのです」

また、すべりやすい路面では早い段階からメカブレーキを使うことで四輪で制動力を発揮して安定した姿勢での減速を可能としているのもe-Pedalの特徴。雪道でも安心してワンペダルのリズミカルなドライブが楽しめるというわけです。

(山本晋也)

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この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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