日産の電気自動車「リーフ」はリアルワールドも意識した空力開発で航続距離を伸ばした

まずエンジンを積んだクルマとEVにおける大きな違いとしてエネルギー損失における空気抵抗の比率が大きいことが挙げられます。

同じ形状であれば空気抵抗の絶対値はパワートレインがエンジンであろうが、電気モーターであろうがそれほど変わりませんが、エンジン車では熱エネルギー損失や引き摺り損失が大きいために空気抵抗の影響は相対的に小さめになります。それに対して、熱エネルギー損失がほとんどないEVでは空気抵抗による悪影響は大きくなってしまいます。

「高速走行でのエネルギー損失については、エンジン車では空気抵抗の比率は13.3%ですが、EVでは59.3%になります」

このように解説いただいたのは松井さんです。つまり、エンジン車であれば熱エネルギー損失を減らすことで燃費を改善する余地がありますが、EVについては空気抵抗を減らすことが航続距離を伸ばす(電費を改善する)ことにダイレクトに効いてくるというわけです。

かなりスタイリングが変化した新旧リーフ、しかし空力性能におけるポイントになってくるのは目に見えない部分。アンダーカバーにあると説明するのは高木さんです。

「もともとモデルチェンジ前のリーフでも大きなアンダーカバーは付けていましたが、新型ではさらに低床化(グランドクリアランスの低減)をしています。また、トーションビームの後輪サスペンションに風が当たることで乱れがあったのを防ぐよう、サスペンション手前の部分を跳ね上げ形状として、トーションビーム回りでの乱流を減らしました。これにより空気抵抗としては約4%低減しています」

床下の流速を稼ぐことで、ボディ上面などを流れてきた風との合流地点を低くすることができ、それが空気抵抗の改善につながったということです。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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