トラックは夏タイヤ、冬タイヤと年の途中で履き替えないのにオールシーズンタイヤもあるって知ってましたか?

今年は雪国では大雪、そうでない地域でも降雪のニュースが多かったように思います。ニュースで、トラックが大雪のため先へ進めなくなり、後続の車両が何時間も雪の積もる路上で過ごさざるを得なかったという報道も記憶に新しいです。

ところで、トラック・バス用タイヤ市場における、オールシーズンタイヤの比率はどれくらいだと思いますか?

乗用車向けには、日本では最近になってグッドイヤーが積極的に展開を始めたように思えますが、横浜ゴムによると、トラック・バス用ではなんとすでに37%がオールシーズンなんだと、トラック・バス用タイヤに求められるロングライフ(耐摩耗性能)を重視したオールシーズンタイヤの新商品「710R(ナナイチマル・アール)」の新製品発表会でお聞きしました。

では、残りは、夏タイヤと冬タイヤを履き替える、あるいは夏タイヤだけの需要かと思ってグラフを見ると、夏タイヤの需要がとても少ない。これはどういうことかと、横浜ゴムのTBR製品企画室 製品企画グループリーダーの八木田雅典さん(以下、YH)にお話をお聞きしました。

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—トラック・バスのオールシーズンタイヤ普及率が2017年で37%とのことですが、残りの約6割は夏タイヤ、冬タイヤを履き替える需要なんでしょうか?

YH「そうではないんです。そもそもトラック・バスのタイヤは1年間履きっぱなしというのがほとんどの使わ方なんです」

—そうすると、オールシーズンタイヤというのはどういう人たちが使うんでしょうか?

YH「1年中、降雪地域ではスノータイヤ、まったく降らない地域ではサマータイヤを履いていることが多く、雪が降る地域も走るけど、大体は普通の道を走る機会が多い場合にオールシーズンタイヤが選ばれているということになります。

—乗用車とはまったく違う考えなんですね。

 

YH「ただし、長距離バスなどは、夏場はサマータイヤ、冬場はウインタータイヤなどと使いわけている場合もあります。これは、やはり縦溝がメインのサマータイヤが静かで快適なためです」

—輸送関係というとコスト第一に選ばれるのかな、と思いますが、燃費つまり転がり抵抗の低さで選ばれることは?

YH「そういうお客さんも中にはいらっしゃいますが、それよりも耐摩耗などで選ばれることが多いようです。例えば1年で20万km走って毎年車検毎にタイヤ交換するようなケースだと、交換工賃が1本あたり5000円とかしますから、10本あれば5万円、これに組み付け工賃がかかって、さらにタイヤ代金も10本分必要ですから、1年間もたいないと次から買ってくれない、なんてことにもなりかねないのです」

—そうすると、お客さんは安いタイヤばかりに流れて行きかねませんか?

YH「日本の乗用車用タイヤにはラベリング制度があって、タイヤ性能を可視化できる基準が設けられました。このような基準に満たないタイヤの販売を規制しようとする動きもあります。数年後にはトラック・バス用タイヤにも、何らかの基準を設けようとする動きがあるので、今回の新商品である「710R(ナナイチマル・アール)」は将来を既に見据えた性能を持たせています」

—タイヤって本当に日々進化しているんですね。

YH「黒くて丸い見た目はあまり変わらないんですけど、中身は相当に変わっていってるんですよ」

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トラックタイヤは1年中履き替えないのが前提! コスト感覚は燃費より耐摩耗性! という乗用車ユーザーからはかなりメカラウロコのお話をお聞きすることができました。

日夜研究開発が行われるタイヤ業界。これからも、タイヤの進化に注目せざるを得ないようですね。

(clicccar編集長 小林 和久)

この記事の著者

編集長 小林和久

編集長 小林和久 近影
子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野でクルマが見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)クルマの知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務める。大きい、小さい、速い、遅いなど極端なクルマがホントは好き。