KINの変身インプレッション
もちろん、化粧するのなんか初めてだよ。でもビーバー(六本木の有名なオカマさん。化粧してくれた方)に「肌が綺麗ね」なんて言われたとき、少し覚悟が決まった。化粧すると、男として突っ張らなくていいみたいな、ウーン、やっぱ女のような気持ちっていうのかな。女になったような気がしてくる。不思議だね。
スタッフとは青山のカフェで待ち合わせしたんだけど、恥ずかしくって「男」として振る舞えないの、どういうわけか。化粧しているんだから、ボクは「オカマ」なんだって言い聞かせてた。「オカマ」のフリをしているほうがずっと気が楽だったよね。
Daiちゃんは気味が悪いって顔をそむけてコーヒー飲んでるし、RYOはゲラゲラとバカ笑いしている。でも「なんだよぉ!」なんて言えなかった。下向いてモジモジしたりなんかして。
検問所が見えたときは、正直言ってビビった。でも、許してもらえそうな気もした。今は「女」なんだからね。オマワリさんの態度はまったく違っていた。ボクも昨日と違うボク。免許証がみつからない、というと「ゆっくり探しなさいね」なんてことを言う。
ボクは生まれてこのかた、こんな優しい態度のオマワリさんを見たことないゾ。優しくされると、簡単に甘えちゃったりなんかできる。「オイ!」と言われちゃ「なんだ!」となるけど、「探しなさいね」なら「ゴメンナサイネ」ときちゃうんだよ。そのときは緊張してたけど、開放されてホント思った。
「女は得だ! 男は損だ! オマワリさんのえこひいき!」