【昭和末期の名車列伝】大排気量4気筒は超トルクフル!ド迫力のブリスターフェンダーが魅力の三菱・スタリオン北米仕様

昭和末期から平成初期にかけての名車を紹介するシリーズ企画。今回紹介するのは1982年に三菱から発売されたスタリオンの兄弟車、ダッジ・コンクエストです。

このモデルは、三菱が輸出した北米仕様スタリオンのOEMモデル。外観の特徴は非常にワイドなブリスターフェンダーにあります。このワイドボディはまず北米仕様が1986年に先行し、国内でも1987年に導入されました。

ちなみに国内仕様・幅広版はデビューから30年が経過した今も日本で高い人気を誇っています。

●主要スペック(日本仕様・GSR-VR)
全長×全幅×全高:4410×1745×1320mm
エンジン:G54B型ターボ
排気量:2555cc
最高出力:175ps/5000rpm
最大トルク:32.0kgm/3000rpm

国内仕様と北米仕様のスタリオン&コンクエストの違いは驚くほど少なく、大雑把に言ってしまうとハンドルの位置とメーターのスピード表記、非格納式ドアミラー程度です。

このため以下のレポートはダッジ・コンクエストだけでなく三菱スタリオン2600ccエンジン搭載車全般の話としてお読みください。

三菱スタリオンは1980年代当時の中型セダン、ギャラン・シグマのシャシーにスポーティなボディを与えられて1982年に登場しました(シャシーがセダン系のため、実は後席やラゲッジスペースも狭くないのも美点です)。


ウェッジシェイプでヴォクシーなスタイルとリトラクタブルヘッドライトは明快な魅力があり、市場に好評を持って迎えられます。

余談ですがスタリオンはシートベルトがボディではなく、なぜかドア側に装着されていました。

デビュー当初に搭載していたエンジンは、G63B型2L直列4気筒SOHCターボとNAの二本立てです。

その後数度のマイナーチェンジを経て、1987年には紹介車両と同じブリスターフェンダー仕様のGSR-VRが限定販売されます。この時は2000ccエンジンのみでしたが、翌1988年には北米仕様と共通のエンジンを搭載したGSR-VR・2600cc版がデビューします。

さてこのスタリオン2600系、実際の乗り味はどんな感じなんでしょう? オーナーのコウヨウさんに話を聞くと「大排気量4気筒なのでトルクが太く乗りやすい」そうです。

「街中では1500rpmも回せばほとんどこと足りてしまうので高回転をほとんど使いません。ただし、ひとたびアクセルを深く踏めばグンと加速してくれるのが楽しいですね」とのことでした。

ちなみにスタリオン2600系は発表から30年以上が経過していますが、消耗部品の交換などはどうしているんでしょうか? 引き続きコウヨウさんに聞きました。

「国内では純正部品の供給は非常に厳しいものがあります。でもこのスタリオン2600系は今でも北米のマニアによって非常に愛され続けているのです。
このためアメリカでは今も多くの純正部品が流通しています。また純正部品が欠品していたとしても、それに置き換わるリプロ製品が多く作られているのです。ですから現在でも乗り続けていくのに不安は全く感じていません。
またチューニングパーツも北米には多く存在していますので、カスタムの楽しさも味わえます」

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
続きを見る
閉じる