スタッドレスでなくオールシーズンタイヤを選ぶなら、インチアップがオススメな理由!

この冬は、雪国と言われる地域でも例年以上の大雪に見舞われ、都心や九州などでもいつにない降雪、積雪を記録しているようです。

とはいえ、都心では例年、数日クルマで出かけられない日があるか、ないか。そのためにスタッドレスタイヤに履き替えるのは手間もコストも大変!という人にはオールシーズンタイヤもオススメできることはなんどかお伝えしてきました。

ところで、スタッドレスタイヤの場合、「冬の間だけだからまあいいか」と妥協して、車両のスタイリングに大きく影響する「足元」をおろそかにして、場合によってはインチダウンを選択する人も中にはいるのではないでしょうか?(かくいう私もやったことがあります!) 実際、ホイールまで揃えると、その方が安く上がることが多いでしょう。

しかし、冬だけのリリーフと言えるスタッドレスに比べ、1年中履いている前提のオールシーズンタイヤは先発投げきりタイプ。そのままの状態で夏の海にも冠婚葬祭にも出かけるかもしれません。で、気になるのがそのスタイルです。

クルマはノーマルがイチバン! 純正ホイールにそのままオールシーズンタイヤを交換、装着すればいいじゃないですか!!という人にも聞いて欲しいんですが、せっかく変えるんだったら見た目もちょっとくらい変わる方が楽しくないですか?

そこで、オールシーズンタイヤにするんだったら、インチアップで見た目を少しばかりスポーティに、あるいはワイルドに変えてみるのをオススメします。

今回選んでみたのは、GOODYEARベクター4シーズンズ・ハイブリッド。昨年からサイズラインアップが拡充したので、インチアップ、ワンサイズ上の選択などもやりやすくなっています。

 

純正サイズが185/60R15であるのに対し、195/50R16をチョイス。カタログによると外径は603→608とほぼ同等。また、装着車の上位グレードには、幅は215までの装着車両があるので、幅も問題なしと判断しました。

これに合わせる16インチホイールは、より変わった感が出るようにと、BORBET Type F 6.5J-16 5H/100 (38)のブラックをチョイス。繊細な純正ホイールから、力強い面持ちに変わると思っております。

いよいよ交換となるわけですが、意外に忘れがちなものがあるので要注意です。

まず、必要となるのがロックボルト用のキー。多くの車両のホイールは、盗難防止のために、1輪当たり4〜5個のボルトやナットのうちの一つがキーがないと回らない仕組みになっていることが多いのです。このキーを持っていないとホイールは車両から外すことはできません。

 

トランクルームの中や工具入れに入っていることが多いので、タイヤ交換を考えている人はクルマに搭載されているか、必ず確認してからショップなどへ向かいましょう。

また、純正ホイールに使用しているボルト、ナットが使えるかどうかも確認が必要となります。

さて、ホイールに組まれたタイヤを交換するだけなら、スペースとジャッキ、レンチなどがあれば一般の人でもできなくはなさそうな作業です。しかし、そこにもノウハウがあります。

実際の交換作業では、ホイールのセンターホール部分と密着するハブのセンターが錆び付いていることがあれば、その錆を落としてから装着する。ホイールのバランスがなるべくいいものをフロントタイヤに持ってくる。このバランスの良さとは、バランサーの数はもちろんですが、長年の目視や触感で伝わってくるものだそう。ホイールボルトは対角に締めていくのはもちろんですが、最後にはトルクレンチで規定で最後は締める、などです。単純作業のようで、実は奥が深いもののようです。

 

無事、交換しての印象は、予想通りのワイルドな印象。やはり、薄いタイヤはフレンドリーなファミリーカーから、ちょっと気取ったスポーティカーに返信させてくれます。優等生が夏休み明けたらメガネをコンタクトにして髪を染めてきた程度のイメージチェンジにはなっているのではないでしょうか。

 

さて、インチアップはハンドリングのしっかり感が出る効果を望めますが、その分、乗り心地の悪化が懸念されるところです。

しかし、今回の交換後の印象では、やや突き上げが強くなったかもしれない、という程度で乗り心地が悪くなったとは言えない程度。特に今回直後は道路脇の雪が解けないほどの気温で、サマータイヤに比べトレッド面の当たりが柔らかいせいか、ごく小さな乗り上げにはむしろソフトに感じることもありました。

高速での乗り味も、ステアリングのしっかり感が増したような気がします。

これで、四季を通じて、足元を気にせず走り続けることができる、と思ったんですが、ちょっとだけ懸念点が。。。

やはりホイールを変えてインチアップしてカッコよくすると、実用面は損なわない程度に車高をちょっとだけ落として、よりスポーティな印象にして、さらにリップスポイラーくらいは……などという計画を妄想してしまう覚悟だけは待っていたほうが良いかもしれませんよ。

 

(clicccar編集長 小林 和久)

※取材協力:東都ジィワイ株式会社

この記事の著者

編集長 小林和久 近影

編集長 小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務める。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
続きを見る
閉じる