乗り味も重量増、230mmも異なるホイールベースを反映したもので、CX-5で感じられる軽快感とは異なり、良い意味での重厚感があり、フットワークも3列シート車にふさわしい落ち着きがあります。
より運転を楽しむのであればCX-5が一枚上手でしょうが、3列目にも乗車することを考えるとCX-8の直進安定性を重視したセッティングは当然といえるでしょう。
後輪の上に座るようなカタチになる3列目の乗り心地は、1列目、2列目よりも路面からの突き上げが大きく感じるシーンがあるのは致し方ないところ。それも、1、2列目のフラットライドな乗り心地が非常に優れていることから逆に目立ってしまうように思えます。
さらに、リヤゲートや後輪回りからの振動や騒音も大きめ。それでも日常的に3列目に座るというケースは少ないはずで、短時間中心であれば割り切って使えそうです。
気になる3列目の居住性は「170cmの乗員が座れる」とマツダの開発陣が表現するように、身長171cmの筆者なら長時間の乗車は上記した音・振動面から少し辛いかなと思わせるものの、非常用としては十分実用になると実感できました。
3列目の乗り心地や静粛性に少し課題を感じさせるものの、ほかの3列ミニバンと比べてとくに及ばないというレベルではなく、しかもCX-8は、サードシートの「後面衝突対策」もしっかりと施されていることも高く評価できます。乗降性も含めて、3列目はイザという時に座れれば十分と考えているのであれば魅力的な選択肢になりそうです。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)