1981年11月17日、日本初の300km/hオーバー、307.69km/hを深紅の光永パンテーラが記録してから2年。
1983年12月19日、ようやく、やっと、日本車による300km/hオーバー車が誕生しました。
301.25km/h、この記録達成をしたのは、大チューニングメーカー・HKSの「M300」(マキシマム300km/h)と名付けられたセリカXXツインターボ。ドライバーは我らが大将、Dai稲田。もちろん、Daiちゃん初の300km/hオーバーも、このM300となりました。では、この日のドキュメントからどうぞ!
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空気の壁を破る超ド級パワー、気が付くとボクは300km/h体験者になっていた!
今、やっと実感が湧いている…。「時速300キロ」というのは信じられないスピードである。いずれ誰かが樹立するとは思っていた。しかし、その栄誉にボクが浴するとは…夢みたいな出来事だった。
HKSから急遽、テストに参加したいと電話が入ったのがテスト3日前だった。マシンは従来の最高速用セリカXXだが、5M-Gエンジンはツインターボだという。「あぁ、例の400psキット装着車だな」と思ったが、ホンネをいえば未知数のチャレンジャーである。
谷田部の最高速テストで新開発車が目標通りのスピードを樹立した例はない。必ず何かのトラブルが発生する。RSヤマモト、雨宮、トラストの記録も走り込んでトラブルシューティングした結果なのである。
しかし当日、そのセリカXXを見た瞬間、ボクはある「予感」を覚えた。まずクルマの作りがチューンドカーの次元を超えている。レーシングカーばりの徹底した軽量化と強化。エアダム一体カウルは単品製作のFRPで、まるでアメリカIMSA仕様だ、スパルタンなリヤスペースにはバランスウエイトまで積んである。
エンジンが凄い。これまでのEFIターボではなく、レース用みたいなキャブターボなのだ。エンジン調整でレーシングさせるエキゾーストノートも吹けが良く、強烈なパワーを感じさせずにおかない。その自信を表すように、フロントノーズには「M300」(マキシマム300km/h)の文字が映える。
それでもクルマの性能は乗ってみないと分からない。