【スバルBRZ STI Sport試乗】足まわりは柔らかめだがコーナー安定感は抜群

BRZの最上級グレードとしてラインアップされたSTI Sportの乗り心地はびっくりするほどいいものでした。

試乗コースとして与えられたのは北海道美深のテスコトースで、路面はかなりいいものでしたが、それにしてもまったく硬いという印象はなく、とてもいい乗り心地を確保していました。走り出しからクルマの安定感は高いものです。BRZはFRですから急加速をすれば、フロントをグッと持ち上げるような加速をしがちですが、その感覚もなくよく抑えられています。

 

コース内にはジャンピングスポットのような場所があり、本当はけっこう減速して進入するように指定されていたのですが、ちょっと速めの速度で進入してしまいました。その際も足回りがグッと伸びて路面をつかみに行きます。サスがフルストロークした後にフルバンプしても底付き感はなく、サスに大きな負担を掛けている感じはありません。

サスペンションの動きはスッと伸びて、グッと縮まる印象。路面追従性がよく懐が深い感じが伝わってきます。装着されているタイヤがミシュランのパイロットスポーツ4なので、かなりタイヤのパフォーマンスが高く、高いグリップ力を発揮しますが、そのタイヤを履きこなせているのも、サスペンションのセッティングがいいからにほかならないでしょう。

スラロームで右から左へステアリングを切り返して行く際も、正確に右から左へコーナリングフォースが切り替わります。フルロールからフルロールへの動きもスムーズで、姿勢は予想したとおりのもので、自分のドライビングの範疇に収まっています。高速コーナリング時の安定感も抜群にいいものでした。タイヤの性能を余すところなく使い切り、限界時のコントロール性にも余裕を感じました。

ブレーキも申し分ないフィーリングです。高いストッピングパワーを誇りながらも、微妙なタッチでのコントロールもしやすいものでした。

スポーツドライビングを求めるならもちろんですが、ハイスピードでの安定性も高く、乗り心地もいいので、ロングドライブ重視の方もSTI Sportを選ぶ価値があると言えます。

(文:諸星陽一)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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