未来に向かうスバルのアイサイト、そのロードマップと開発拠点とは?

世界的に採用が広がっている先進運転支援システム(ADAS=Advanced driver-assistance systems、一般的にはエイダスと発音します)。

日本でその存在を広めたのはスバルのアイサイトだと言っても過言ではありません。「ぶつからないクルマ」というキャッチコピーは、その効果を消費者のマインドに直接訴えました。また、草の根的に続けられた体験イベントもその普及に大きく寄与したはずです。

そんなアイサイト、常に進化を続けています。アイサイトはステレオカメラをセンサーに使用したADASで、登場は1999年になります。

当初はADAと呼ばれていたシステムで、「車線逸脱警報」「車間距離警報」「車間距離制御クルーズコントロール」「カーブ警報/シフトダウン制御」などが行われていました。その後、ステレオカメラではなく、レーザーレーダーだけで全車速アダプティブクルーズコントロールを行なう「SI-Cruise」が登場するものの、2008年にアイサイトとしてステレオカメラ方式が再び採用されます。

その後、進化を続けたアイサイト、2017年にはすでに実現していた道路の区分線を読み取って走行帯内を走行する機能に加えて、自動ハンドルで前走車に追従する機能を追加した「アイサイト・ツーリングアシスト」に進化しました。アイサイトはリーズナブルな価格でユーザーに提供する。つまり、普及こそが意味を持つという思想で開発されています。

スバルの開発ロードマップによれば、2020年にはデジタルマップGPSと地図ロケーター、車両周囲を監視するレーダーを搭載し、自動車線変更機能などを実現、その先には交差点内での自動車同士の出会い頭衝突防止機能や、左折巻き込み事故防止機能、対自転車での出会い頭衝突防止機能などが搭載される予定です。

スバルではこうしたADASの開発を効率的に行うため、北海道中川郡美深町にあるテストコース内に「高度運転技術開発テストコース」を新設しました。

「高度運転技術開発テストコース」には、一般的な信号制御式交差点はもとよりラウンドアバウト(ロータリー式交差点)を設営。さらにすでに完成している高速周回路への接続部分を使って、高速道路流入路、高速道路のSA・PAを模したスペースへの流出路などが再現されています。

 

美深町のテストコースは元々は冬季の走行テストに使われていましたが、今後は冬季以外も積極的にコースが利用され、アイサイト(という名前が今後も使われるかは不明ですが)の進化が加速されることは間違いなさそうです。

(文・写真/諸星陽一)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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