2代目にスイッチした新型アウディQ5。ハンドリングと乗り心地のバランスに秀でているだけでなく、アウディらしい高い質感と先進性を存分に味わうことができます。
先代から約9年、日本では8年ぶりとなるフルモデルチェンジだけに、先代末期はライバルよりもややビジネスライクな内・外装など、色気に欠ける点もあったように思えます。
新型も基本的には硬めな乗り心地であるものの、先代までに見られたゴツゴツした微振動はかなり抑制され、動的質感は着実にアップグレードされています。
一見、キープコンセプトに思えるエクステリアは、さらに「彫り」が深くなり、細部のチリ合わせもより精密になり、クオリティアップは明らか。
ブラックを基調としたインパネは、樹脂であっても表面の触感・見た目ともに高級感があり、クローム加飾の使い方もアウディらしくセンス良くまとめられています。
先進的な雰囲気もファンには見逃せないポイントになりそう。最近お馴染みになった「アウディ バーチャルコクピット」をはじめ、やや操作に慣れが必要とはいえMMIタッチも装備されており、先進性を主張する仕掛けとしては十分に役割を果たしています。
さらに、最新のコネクティビティである「Audi Connect」はLTE通信を利用し、Wi-Fiホットスポット機能により最大8台のモバイル端末に対応。メールやインターネット検索などが可能になっています。さらに「Apple CarPlay」や「Android Auto」などのアプリにも対応。
アウディらしい水平基調のインパネは、広々感をもたらすだけでなく、良好な前方視界にも寄与していて、Aピラーまわりの視界も確保されているため、前方左右の見切りも1900mmというワイドボディの割には良好。
また、前席と後席の頭上と肩まわりの空間がひと回り広くなり、後席のフットスペースもまた拡大している感じを受けます。Dセグメント級のSUVの中でもトップクラスのキャビンスペースといえそうです。
荷室容量は先代から通常時で10L増となる550L、後席をすべて前に倒せば1550Lと広々したスペースが出現します。地上から開口部までは少し高めですが、日常使いで容量不足を覚えることはほとんどないはず。
ボルボXC60、BMW X3、メルセデス・ベンツGLCなど強力なライバルがひしめく新型アウディQ5。デザインに関しては人により好みは異なりますが、居住性や積載性の面を重視して選ぶのならQ5のアピールポイントのひとつになりそうです。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)