10月25日に東京モーターショー会場で行われた記者会見で、日産自動車の「フォーミュラE(FE)」への参戦が発表されました。
2018年12月に開幕する「シーズン5」から、ニッサンが世界選手権シリーズに復帰します。グローバルなモータースポーツへのワークス活動としては、2015年のル・マン24時間以来の取り組みとなります。
このフォーミュラE、シリーズがスタートして3年が経過しましたが、まだ日本ではなじみが薄いと思います。分かりやすく言うならば、電気自動車のF1と言ったところでしょうか。エンジンの代わりに電動モーターとバッテリーを搭載して走るフォーミュラカーがフォーミュラE、と考えると分かりやすいと思います。
シャシーやバッテリー、ブレーキなど多くが共通部品となっている一方、最大出力が200kWに規定されているモーターとインバーター、ギヤボックスから成る「パワートレーン」の独自開発が「シーズン2」から認められるようになりました。
その結果、アウディ、DS(シトロエン)、ジャガー、マヒンドラ、ルノー、BMWなど多くの自動車メーカーが参戦、もしくは積極的な関与を始めています。その他、ポルシェも「シーズン5」からのワークス活動を公式に発表したほか、メルセデスの参戦も噂されています。
2014年に始まったFEは、F1(フォーミュラ・ワン世界選手権)、WRC(世界ラリー選手権)、WEC(世界耐久選手権)およびWTCC(世界ツーリングカー選手権)と同様、パリに本部を置くFIA(国際自動車連盟)が統括するシリーズです。電気自動車であるため走行中に排ガスを出さず、エンジン搭載マシンに比べ格段に静かなのが特徴です。
そのため、観客にとってアクセスのよい市街地にコースを設けてレースが行われます。今年の12月に開幕する「シーズン4(2017/2018シーズン)」では、香港を皮切りにローマ、パリ、ベルリン、チューリッヒ、ニューヨーク、モントリオールなど、アジア、欧州、南北アメリカおよびアフリカの10か国を転戦し、それぞれの国を代表する大都会の街中で全14戦が行われます。
このシリーズ、立ち上げから3シーズン連続でチームタイトルを獲得しているのがルノー(正式名称はRenault e.Damsチーム)。ルノーは先ごろ、今年の12月に開幕する「シーズン4」をもってFEでの活動を終える事を発表しました。アライアンスパートナーであるニッサンが、この後を引き継ぐ形でFEに参戦する事になります。2015年のル・マン、2005年まで3年間挑戦したダカールラリーと、国内の強さとは対照的に良い所のなかったニッサンのグローバルな挑戦。FEでは活躍が見られることを期待しましょう。
(Toru ISHIKAWA)