【東京モーターショー2017】理由はロイヤルユース? 新型センチュリーの展示車が布張りシート仕様だった理由とは?

ところで高級車といえばシートやトリムなど革を使った内装がイメージとしてありますが、今回のモーターショーで展示されたセンチュリーはファブリック、つまり布製シート。毛足の長いウールの手触り、確かに高級感はかなりのものです。

こちらはレクサスの旗艦モデルLS500h。シート表皮やトリムは様々なカラーが選べるカラーオーダーシステムも話題ですが、基本は革。やはり高級車のイメージとしては革シートの方が強い印象を与えます。

ではセンチュリーはなぜ高級車のイメージアイコンとしての革シートではなくウールファブリックのシートを展示したのでしょうか。

その理由を、センチュリーの内装部門システムサプライヤーとして設計の前段階のコンセプトメイクから開発に参加したトヨタ紡織のブースに聞いてみました。ちなみに東京モーターショーのトヨタ紡織ブースはレクサスのシートのカットモデルが目印です。

「センチュリーは初代から宮内庁にも相当数を納入させていただいておりますが、すべてウールファブリック地でご発注いただいております。そういった経緯からの流れもあってウールファブリックのシート地の開発にもかなり力を入れております。つまりウールファブリックのシートはセンチュリーの伝統のひとつなのです」

ちなみにセンチュリーに限らず当時のセルシオや歴代のクラウン、現行のレクサスシリーズを含めて宮内庁に納めるクルマは全てウールファブリックのモケットでの納入となっているとのこと。現行のセンチュリーの初期や当時のセルシオにはシートの表皮にわざわざウールマークまでつけていたそうです。

なお、センチュリーは注文時に設定すれば革シートも選べますが、現行型の受注のほとんどはウールファブリックとのことです。

天皇陛下の御料車であるセンチュリーロイヤルも陛下がお座りになるリアシートはファブリック。そして御公務の都合で天皇陛下もお乗りになることが考えられる次期センチュリーもファブリック仕様がメイン。

つまり、センチュリーの東京モーターショー2017での展示車両は、皇族の方々がお乗りになる宮内庁仕様に準じた最高級仕様が選ばれた、ということなのです。

(写真・文:松永和浩)

 

この記事の著者

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松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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