チーフエンジニアの小堀 氏は「スイフトスポーツに競合車はいない」と言います。
新型の開発に際して、まずは先代「スイフトスポーツ」はもちろん、国内外問わずスポーティなコンパクトカーに乗ったと言います。ただ、それらの中でもドライバーの手の内でコントロールできることに限れば、1.6L直4自然吸気エンジン(136ps)を搭載する先代「スイフトスポーツ」が頭一つ抜きん出ていたとのこと。また、その味わいはブランディングにも貢献しており、「スイフトスポーツ」は独特のポジションを確立している確信を抱いたそうです。 それらを踏まえて、新型の開発はその独特な個性を強めることを目標にスタートしました。
まず検討されたのがエンジンです。「スイフト」には1.0L直3ターボ(102ps)を搭載する仕様があるものの、このエンジンは欧州仕様の「スイフト」に搭載される1.3Lディーゼルに代わるものとして実用性や快適性を重視して開発されたものであり、爽快な走りを謳う「スイフトスポーツ」には……。
そこで、注目したのがSUVの「エスクード」への搭載が決まっていた1.4L直4ターボでした。これと徹底的な軽量化技術を組み合わせれば、トルク・ウエイト・レシオを大幅に下げることができ、より良いハンドリングの実現に繋がるはず。そんな思惑通り、先代の6.5kg/Nmに対して、新型は4.2kg/Nmと差は歴然です。
ただし、エンジンをそのまま搭載するのではなく、制御は「スイフトスポーツ」専用。低速域でもウェイストゲートバルブを閉じておくことで、ターボのフィンを回転させる空気の流れを強く保ち、アクセルに対する加速遅れの解消を図っています。
しかしながら、開発当初はパワーにボディが付いていけなかったと言います。その結果、「スイフトスポーツ」は前後のトレッドを若干広げた欧州仕様のボディが用いられています。そのほかにも、タイヤ接地性を高める足まわりや、エンジンを支えるブッシュのバネ定数を50%高めるなど、旋回時の挙動をスッキリさせる専用チューンが施されています。