2017年9月末を持って、SUBARUが汎用エンジン事業をクローズしました。同社における汎用エンジン事業とは、発電機やポンプなどの完成品、カートやスノーモービルなどの車載用エンジン、そのほか建築工事機械や農業機械のパワーソースの生産・販売といったものでした。
そのSUBARU汎用エンジンの歴史、じつはクルマよりも古いというのはご存知でしょうか?
あらためて整理すると、SUBARUの旧社名は富士重工業といいます。そして、そもそもSUBARUというブランドは四輪車に使われているものでした。その最初の市販モデル「SUBARU 360」が登場したのは1958年ですが、汎用エンジン「M6型」の生産が始まったのは1951年2月でした。
そもそも旧・中島飛行機系の企業が合併して富士重工業が生まれたのが1955年です。最初の汎用エンジンは前身のひとつである大宮富士工業が生み出したものでした。大宮富士工業は、海軍航空機用の「誉」エンジンを製造していた中島飛行機・大宮製作所にルーツを持つ、生粋のエンジン屋といえます。
そして、1956年より富士重工業は汎用エンジンに「ロビン」というブランド名を与えました。同社は「ラビット」というブランドでスクーターを生産していましたが、スクーターに積まれた空冷4サイクルエンジンを活用した汎用エンジンとして活用したのが「ロビン」という位置付けです。
1955年からはじまる高度経済成長の中、ロビン・ブランドの汎用エンジンは、建築工事機械、農業機械に使われるようになります。とくにランマーと呼ばれる地盤を固める手持ち工事機械のパワーソースとして大いに活用されたといいます。まさにロビン・エンジンは高度経済成長の礎を築いてきたのです。
経営資源の集中と選択の中で、SUBARUの汎用エンジン事業は終了したわけですが、同社のみならず日本の成長を支えた「ロビン」の汎用エンジンは記憶しておきたいブランドなのです。
(写真提供:SUBARU 文:山本晋也)
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