まだまだ残暑きびしい九州も、9月半ばを過ぎればだんだんと朝晩は涼しくなり、秋の気配を感じるようになります。
秋の彼岸の頃に咲くので名づけられた「彼岸花」(曼珠沙華)は、まさに秋の訪れを告げる代表的な花です。
道の駅【すごう】(大分県竹田市菅生)から1kmほど東に位置する国指定史跡【七ツ森古墳群】は、名称が示すように元々は七基の古墳が存在したと云われていますが、現在は四基のみ確認でき、ほぼ東西に並んでいます。
昭和29年(1954年)の調査で、A号とD号は円墳で、B号とC号は柄鏡式の前方後円墳であることが分かっており、古墳時代前期に造成された豊肥地区で最古の畿内型古墳と考えられ、この地域の原始古代文化を研究するうえでたいへん重要なものです。
古墳群の敷地は約600坪、そのほぼ全体を約20万本の彼岸花が埋め尽くすことで人気を集めています。古墳の調査が行われた昭和29年頃から荒れていた敷地内を地元の方々が整備し始めたのがきっかけで、彼岸花は植えたものではなく野生のものが自然に広がったのだそうです。
何となく道筋はできているものの歩道が設けられている訳ではなく自由に歩けるので、踏み折られた彼岸花が多数……。どうぞ足下にはお気をつけください。それと、古墳=お墓なので、登らないようにしましょう。
たくさんのアゲハチョウが舞っている様子も、彼岸花と似合いますね。映画「22才の別れ」(大林宣彦監督/2007年)での回想シーンがここで撮影され、ますます有名になりました。
【七ッ森古墳群】
大分県竹田市菅生戸上370-2(国道57号線沿)
駐車場・トイレあり/入場無料
9月中旬の連休ではまだ蕾で台風も接近中だったことも重なり、「第20回七ツ森彼岸花祭り」は中止になってしまいましたが、ようやく見頃を迎えました。花の盛りは短いので、お急ぎください!
(松本しう周己)