2017年F1第14戦シンガポールGPがマリーナ・ベイ・ストリート・サーキット(5.065km、周回数61周)で開催されました。
シンガポールGPは2008年に初めてのナイトレースとして開催され、今年で10回目。シンガポール中心部と連接するマリーナ湾岸地域にまたがった市街地コースは、観客席とコースがとにかく近いんです! そして暗闇に浮かび上がるサーキット、ライトに照らされたマシン達の輝きはとても幻想的で、一度行ったらその光景が忘れられなくなり、何度も行きたくなるグランプリです。
私は今回現地で観戦することができたのですが、この日は16:30頃からシンガポール特有のスコールに見舞われました。しかし1時間程で止んだため、20:00スタート(現地時間)のレースに影響はないかなと思いきや、マシンがグリッドに並びだすとポツポツと雨が降ってきたではないですか! レース直前には雨脚が強くなり、レインコート必須の状態に。各チーム大慌てでウエットタイヤに交換していました。
ここで面白かったのがタイヤのチョイス。F1では2種類のウエットタイヤがあるのですが、浅溝のインターミディエイトが10台、深溝のフルウエットタイヤが10台と半分に分かれました。ちなみに、上位勢のフェラーリ、レッドブル、メルセデスはインターミディエイトを選択。どちらのタイヤチョイスが功を奏すのか注目です。
実はシンガポールGPの決勝で雨が降るのは初めて。F1史上初のナイトウエットレースのスタートです!
スタート直後、ポールシッターのセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が2番手スタートのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を牽制して左にマシンをふります。しかし4番手スタートのキミ・ライコネン(フェラーリ)が好スタートを決め、フェルスタッペンの左側に並んでいたのです。フェラーリ2台に挟まれたフェルスタッペンは行き場をなくし、ライコネンと接触してしまいました。
挙動を乱したライコネンはベッテルの左サイドポンツーンにヒット。さらにまっすぐ滑っていき、ターン1でフェルスタッペンのマシンに再び激突。2台ともリタイアとなってしまいました。
ベッテルはこの混乱を潜り抜けるも、ターン3の立ち上がりで単独スピンをしウォールにクラッシュ。レースに復帰しようとコースに戻りますが、スタート時のクラッシュでラジエターから冷却水を失っており、チームに指示されマシンを止めることに…。ドライバーズ・チャンピオンにむけ、何としてでもポイントを獲得したかったベッテルにとって、このリタイアは大きな痛手となってしまいました。
マシン撤去のため、セーフティカーが導入。シンガポールGPは衝撃的なスタートで幕を開けたのです。
5周目、レースが再開しました。この時の上位勢の順位は首位ルイス・ハミルトン(メルセデス)、2番手ダニエル・リカルド(レッドブル)、3番手ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)、4番手バルテリ・ボッタス(メルセデス)、5番手ジョリオン・パーマー(ルノー)。雨はすっかり上がりましたが、マシンが水しぶきをあげながら走るほど路面は濡れています。
レース再開直後のターン1で、ウエットタイヤを履くパーマーがインターミディエイトのボッタスをパス。5番手に浮上しました。
11周目、今度はダニール・クビアト(トロロッソ)がターン7で止まりきれずバリアにクラッシュ。2度目のセーフティカーが導入されました。
この間にウエットタイヤを装着していたヒュルケンベルグ、パーマーがインターミディエイトに交換。首位ハミルトン、2番手リカルド、3番手ボッタス、4番手カルロス・サインツJr(トロロッソ)、5番手ヒュルケンベルグという順になりました。
そしてレースは15周目に再開。フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)とパスカル・ウェーレイン(ザウバー)以外の全車がインターミディエイトで走行します。