歴史的価値ある動態保存F1のタイヤ交換サイクルは?【ホンダコレクションホール】

こんな感じでタイヤの外側・真ん中・内側の温度を測っていました。

先日、もてぎのイベントに行った時の事、RA272とRA300はファイアストンのタイヤで参戦当時のブランドですが、マクラーレンのタイヤはのAVON(エイボン)。グッドイヤーでも昨年迄F1に参戦していたブリヂストンでもありません。F1でも色々なタイヤサイズがあって、このころは後輪の横幅18インチ(現在のF1は15インチ)。つまり、AVONは今もこのサイズのタイヤを製造しているんですね。そして、今回もてぎではマクラーレンのタイヤにとあるマーキングが。。。

 

AVONタイヤは今でも英F3等にタイヤを提供していますね。

「2011.Jun」と見えます。このイベントの開催は7月2日でした。マーキングの意味から想像すると、このタイヤはおろしたてということ?

そこで気になったのが、こんな歴史的価値のある保存車両のタイヤってどんなサイクルで交換しているのでしょうか? そこで、コレクションホールのかたに質問してみました。すると、このタイヤはイベントの前にテスト走行をした先週におろしたとのこと。

どの位(の回数又は期間)使用するんでしょう
大事に使うと5年くらいですかねぇ
「…! そんなに長い期間使えるんですか」
「こういった機会でしか走行しないので、なかなか消耗しません。」
「ゴムが硬化したり、ひび割れたりしないんですか」
「空気圧の管理を心掛けていればそういうことはほとんどありません。」

確かに、レーシングタイヤは市販のタイヤとは素材(ゴム/油/カーボン/硫黄)の配合比が大きく異なる(=油の配合割合が上がる)ため、硬化しにくいようです。

では、ここで問題です。タイヤウォーマが掛っていますが、これはなんの為でしょうか。
「接地面を温めグリップを上げる為」…という答えでは4割くらいだけ正解です。

実はタイヤウォーマー最大の役割は、タイヤの内圧を上げるためです。
特にF1のタイヤは大きな外径とは裏腹にいわゆるタイヤサイズで言う13インチ。軽自動車並みのホイール径に大きなタイヤを装着するわけですから、タイヤ内のエアの量が半端ではありません。そこで、走行時急激な温度変化による、空気圧の変化がない様に初めから適正な内圧に近付けておくために、タイヤを温めているわけです。だから接地面だけでなく、サイドウォールの部分も温めているのですね。

 

 

ステアリングには最初貼ってなかった「12500rpm」のメモ(ガムテ)がっ

因みにこの日MP4/6のレブリミットは12500rpmに設定されていました。これは、おおむね本番時のレブリミットに近い値で、この値まで回す事をテスト走行担当(この日は宮城光さん)にはお願いされるのだそうです。

コレクションホールでの動態保存というのは、動けばいいって事ではなく、オリジナルの性能を維持し続ける事なんですね。市販車と違い、交換部品などは消耗品以外ほとんど用意しない競技車両では破損→「交換」ではなく「作り直し」となりますので、多くの苦労が伴う事でしょう。この日走行したRA272,RA300等は40年以上前のマシン。バイクは半世紀前!の物も。関係者の努力には頭が下がります。

来年、鈴鹿サーキットは50周年。セレモニーの際、もしマクラーレンMP4/6が走行していれば、このタイヤを装着していそうです。鈴鹿の最終コーナを全開で立ち上がるマシンのタイヤとエンジンを想像してみるのも楽しそうです。

(川崎BASE)