【ワークスチューニング試乗会】無限・フィットの走りは往年の「無限POWER」シビックを思い起こさせる

今回の試乗コースは、フィットRSのギア比でいうと、2速を中心にストレートで3速、タイトなヘアピンで1速を使うといった設定。低めのギアで回転数を上げて走りますからエンジンにも負担はかかりますし、トラクション確保の面でも厳しいシチュエーションといえます。

しかし、無限のチューンしたフィットRSを走らせていると、そのポテンシャルはもっともっと上にあることを実感します。前後タイヤをしっかりとグリップさせているのでタイトコーナーでもタイヤが空転することなく、しっかりと前に進んでいくのです。また、ブレーキパッドとサスペンションのマッチングも上々で、ブレーキングを奥まで我慢するような乗り方をしても、リヤの接地性が損なわれるような感触もありません。

エキゾーストノートも勇ましく、そのドライブフィールは1990年代のシビック(EF型、EG型)のそれを思い起こさせるもの。軽量なホットハッチでワインディングを走る楽しさは無限フィットRSに受け継がれているのです。

しかも、コクピットに装着された3連メーターを見ると、走りっぷりに対して水温が上がっていないことに驚かされます。低いギアで全開走行を繰り返せば、水温は100度に迫っていくはずですが、80度台に抑えられているのです。これこそ、まさにエアロボンネットの効果。ラジエーター後方にたまった熱をボンネット内の通路に導き、左右のダクトから排出するという凝った構造が、1.5リッターエンジンの性能を引き出します。

こうした凝った構造としているのは雨がエンジンルームに入らないようにするためで、そうした配慮もワークスチューニングならでは、といえそうです。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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