スーパーGTの予選はクラスごとに行われ、Q1の上位8台がQ2に進出できるというノックアウト方式。耐久レースといえど、予選の順位は重要。さすがにレギュラードライバーの武藤英紀選手もしくは中嶋大祐選手が走行するのだろうなと思っていたのですが、なんとバトン選手がQ1を走行するというではないですか!
バトン選手はQ2進出ボーダーラインの8番手タイムを叩き出しましたが、セッション終了間際にわずか0.089秒差で9番手に落ち、Q1で脱落となってしまいました。
予選後の囲み会見でバトン選手は予選を以下のように振り返っていました。
「初めての予選で凄く新鮮でした。朝の公式練習ではドライの状態で少ししか走れなかったので、最初は緊張しました。でも良い走りができたと思います。予選がスタートしてからトラフィックに引っかかってしまったのは残念でしたが、それさえなければQ2に進出できたと思います。明日のレースは長いので、精一杯頑張ります。」
また「予選Q1を走行することになった経緯を教えてください。アタックを自ら希望したのですか、それともチームと話し合ってきめたのですか?」という質問に対して
「どのようなディスカッションがあったのかは分からないのですが、昨晩ディナーの席で伝えられました。初めてクルマに乗ってから数回しか経っていないのに!? とビックリして、食べるのをストップしちゃいました(笑)。サードドライバーがQ1で走るという事は珍しいので、凄くプレッシャーでした」
と笑いながら答えたバトン選手。予選の走行ドライバーはドライバーを含めたチームミーティングで決めたのかなと思っていたのですが、バトン選手はミーティングに参加せず、しかも決定事項を告げられたのはディナーの席だったとはびっくりです! バトン選手の驚いた顔、見たかったなー(笑)。
日曜日の決勝、TEAM MUGENは9番手からスタートし、バトン選手は第2スティントと第5スティントを担当しましたが、初めての鈴鹿1000kmはF1ワールドチャンピオンでも順風満帆にはいきませんでした。
24周目、中嶋選手と交換したバトン選手はピットからマシンを勢いよくスタートしていきます。「頑張れー!」とドキドキしていたら、ピットレーンを走行していたStudie BMW M6(GT300クラス)と接触寸前に! 幸い接触はありませんでしたが、アンセーフリリースでドライブスルーペナルティを科せられてしまい、この時3番手でコースに復帰したバトン選手は11番手まで大きくポジションを落としてしまいました。
43周目、ARTA BMW M6 GT3(GT300クラス)がピットインの為にピットロードへ入ろうとした瞬間、後方から他車に押し出されガードレールに激突。セーフティカーが導入されました。F1ではセーフティカー先導のもと隊列を作り直しますが、スーパーGTではセーフティカーが導入されたら、メインストレートで全車ストップ。GT500クラスとGT300クラスの隊列を形成し直します。
全てが完了するとセーフティカーが動き出し、GT500、GT300の順に走行を再開します。他のカテゴリーには無い独自のルールです。
バトン選手はセーフティカー中に他車を追い越してしまい、2度目のドライブスルーペナルティを科せられてしまいましたが、最初のスティントを走りきり54周目に武藤選手にステアリングを託しました。
2スティント目となる第5スティントでは、135周目に右フロントタイヤがパンクというアクシデントに見舞われてしまいました。バトン選手はそのまま予定より早くピットインをし、タイヤ&ドライバーを交換。バトン選手は2スティント合計41周を走りきり、初めての鈴鹿1000kmを無事に終えることができました。TEAM MUGENは様々な出来事がありながらも、12位で見事完走! ファンとしては少々ドキドキハラハラのレースとなりました。
6月に行われたタイヤメーカーテスト、そして鈴鹿1000kmを見てきましたが、やっぱりバトン選手がレースをしている姿をまだまだ見たい!
そして木曜日にホンダウエルカムプラザ青山で行われたファンミーティング、土曜日の前夜祭とレースウィーク中を通して、F1での姿とはまた違うバトン選手の笑顔をたくさん見ることができ、本当に幸せでした。
まだ来年については「ノープラン」と話していたバトン選手ですが、またいつか鈴鹿サーキットで走行している姿を見ることができますように!
(写真・松永和浩/文・yuri)
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