■理にかなうこと。五箇山にて
次に訪れたのは、五箇山IC近くの「菅沼合掌造り集落」。9戸の合掌造り家屋が現存する、小さな世界遺産です。
立ち並ぶ切妻造りの茅葺き屋根は、豪壮でノスタルジック。夏の日差しの中、ただただ美しいものに見えます。
しかしもちろん合掌造りは、冬の間に降る重い雪に耐えるためのもの。そして堅牢で大きな構造は、塩硝づくりや養蚕などの仕事に貢献するものなのだそうです。
それが現代の私たちの目に「美」として映るのは、とても興味深いことです。
理にかなってこそ、本質的な美しさを獲得できる。道具としてのクルマも、また同じ宿命を持っていると思います。
CX-5はデザインが効いているし、いい感じに目を惹くけれど、ケレン味やケバさは感じさせない。独特の魅力は、やはり「人が乗る」ということを深く追求して、無駄が削ぎ落とされているところから来るのかな…とかなんとか感じながら、いよいよ宿泊先の能登へ向かいます。
つづく。
(文:くぼきひろこ/写真:ダン・アオキ)