ついに乗った新型シビック・タイプR!今度のRは速いだけでなく快適だ【シビックタイプR試乗】

2周目。この周回こそが本番です。モードは「+R」。このモードはエンジンのパワーを余すことなく引き出し、吹け上がりも鋭くなります。

アクセルを踏み込むとあっという間にタコメーターが跳ね上がり、シフトチェンジがせわしないくらいです。コーナーに向かってブレーキキングし、シフトダウンを行う。

通常ならクラッチを切った瞬間にアクセルペダルをあおってエンジン回転を合わせるところですが、その作業は不要です。クルマ側が自動的にブリッピングしエンジン回転を合わせてくれるのです。

ステアリングを切り込むと瞬時にノーズがインを向いていきますが、決して唐突という印象はありません。コーナリングフォースの立ち上がりは適度なゆるやかさがあり、一回たち上がるとそこから一気に盛り上がります。

今回のモデルからリヤサスペンションがマルチリンクとなり、スタビリティが高まっているため、非常に安定感のあるコーナリングとなっています。安定したコーナリングは、サスペンションの基本設計が高いことに加えて、フロントイン側にブレーキをかけることで積極的に曲がる力を発生させていることも大きく影響しています。

新型のシビックタイプRは、かつてのスポーツドライブしかできなかったシビックタイプRとはまるで異なる性格が与えられました。速くて、しかも快適……ホンダ車復活の一端を垣間見た気がする試乗でした。

(諸星陽一)

この記事の著者

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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