ホンダジェットのシェアリングで本当のモビリティカンパニーとして進化【週刊クルマのミライ】

■ホンダだからできる陸・空のモビリティ連携による快適な移動体験

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将来的には自動運転やカーシェア、バイクシェアと組み合わせることで最短での移動をトータルに提供するサービスも期待できる。

ホンダが真のモビリティカンパニーとなるべく、新しいビジネスモデルを発表しました。

正確には『HondaJetを活用した新たなモビリティサービスの概念実証(PoC)を開始』という発表であって、ビジネス化の一歩手前といった段階といえます。

しかし、その内容はモビリティを提供する企業として、これまでのハードウェアだけでなく、移動サービス全体を俯瞰したビジネスモデルへ進化していくというホンダの強い意志を感じさせるものです。

具体的には、自社開発したビジネスジェットのシェアリングサービスを軸に、自動運転カー、カーシェア、バイクシェア、ライドシェアなどを組み合わせて活用することで、国内の中長距離移動をより便利で快適にする事業を目指しています。そのための問題抽出などのために、2022年中にデモフライトを含む概念実証を開始するという、スピード感あるものとなっています。

よりリアリティのあるシーンでいえば、出発地から空港までは自動運転タクシーでプレゼン資料を作りながら移動、ホンダジェットで目的地近くの空港まで一気に移動して、そこからはクルマやバイクといったシェアリングモビリティを利用して、最短時間で目的地を目指すといった移動プランが考えられるでしょう。

ホンダジェットという自由度の高い空路を用いることで、出発地から目的地までの最速ルートを提供するというモビリティサービスというとイメージしやすいでしょうか。

●ビジネスジェットを利用した新モビリティサービスの概念実証を開始

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地方空港をダイレクトに結ぶことで、移動の大幅な効率化や地方活性化がつながるビジネスだ。

その軸となるのが、今回スタートするホンダジェットのシェアリングを軸とした「新たなモビリティサービスの概念実証」ということになります。

国土の大きさから、北米ほどビジネスジェットのプライベート利用が進んでいない日本ですが、空路での移動における課題は地方空港同士をダイレクトにつなぐ路線が貧弱なことです。

ニーズを考えると定期路線がないのは仕方ないとはいえ、地方空港から地方空港まで移動するのに、いったんハブ空港を介するというのはあまりにも時間の無駄です。だからといって、陸路では空路のスピードを確保できないケースもあるでしょう。

今回の概念実証では、定期的な航空路線や長距離鉄道などの公共交通による移動が不便な地方都市の組み合わせにおいて、都市間をホンダジェットで結ぶことにより、移動の大幅な効率化や地方活性化、はたまた遠隔地医療への対応などへの可能性を探るのが狙いとなっています。

さらに、ホンダ単独ではなく、モビリティサービスに関連する事業者や地方自治体などと連携し、陸上移動や目的地でのアクティビティを含む、一貫した移動体験を可能にすることも検討しています。ホンダ個社でのモビリティサービスにとどまらず、地方活性化も視野に入れ、モビリティの持つ価値にレバレッジを効かせようというわけです。

●シェアリングがビジネスジェット市場を拡大させるか

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「日本中の空に、近道をつくれ」というのがホンダジェット・シェアリングサービスのキャッチコピー。

ホンダの新しいモビリティサービスは、近視眼的にいえばビジネスジェット市場を拡大させる可能性があります。北米をはじめ世界で評価されているホンダジェットを、日本の空で見かける機会が激増するかもしれません。

また、より未来までを見据えた話をすれば、クルマ・バイク・ジェットのシェアリングサービスをワンストップ化することで、乗り継ぎの非効率さなどを改善したシームレスで快適な移動につながるビジネスモデルの確立が期待できます。

冒頭での一例でも挙げたような、自動運転とビジネスジェットを組み合わせたドアtoドアの移動サービスが実現するにはまだ時間がかかるかもしれません。しかし、ホンダが自動運転車両と思われるイラストを含めたビジネスイメージ図を公開しているということは、将来的な目標として自動運転サービスの利用が含まれているということにほかなりません。

自動車業界100年に一度の大変革ということで、CASE時代とも呼ばれています。その中ではE(電動化)ばかりがフォーカスされがちですが、ホンダの概要実証においてはS(シェアリング)とA(自動運転)を組み合わせることで、新しいモビリティサービスを生み出そうとしているのです。

陸海空をカバーする総合モビリティカンパニーであるホンダだから可能になる提案として、大いに注目です。

自動車コラムニスト・山本 晋也