ぶつからないクルマはぶつかっても安全なクルマへとまだまだ安全性が進化する日本車の向かうべき道は?

様々な面で日本は特殊な環境で「ガラパゴス」などという言われ方をします。自動車事故の内容を見ても、多くの国で乗車中の死亡者が多いのに対し、日本は対歩行者、対自転車の死亡者が多いことが目立ちます。これもある意味「ガラパゴス」です。

ただし、これはある意味日本での自動車乗車中の死亡者の割合が少なくなったからであり、その主な要因の一つにクルマのそのもの安全性が高まっていることが大きく起因しています。ABSやエアバッグ、横滑り防止装置の装着率のアップは、死亡事故抑止に大きく貢献しています。

そうしたクルマの安全性の追求を古くから行っているメーカーが、今年創業100周年を迎えたスバルです。スバルはもともとが航空機メーカーの「飛行機研究所(のちの中島飛行機)」という会社がルーツです。スバルは「ぶつからないクルマ」というキーワードを使い、「アイサイト」をアピールしました。これには飛行機会社をルーツに持つ会社だったからにほかなりません。飛行機の場合、トラブル・イコール・重大事故……という方程式があるからです。飛行機部門は「落ちない飛行機」を目指して開発をしているというのです。

そんなスバルだからこそ、安全に関しては妥協せずに開発を重ねています。スバルの衝突実験の歴史は長く、1965年にはスバル360の衝突実験を開始、現在に至っています。年を重ねるごとに安全性は高まり、2016年度の自動車アセスメントで過去最高の得点を獲得し、2016年度「衝突安全性能評価大賞」を受賞しました。

自動車アセスメントの衝突試験の様子は動画公開されていますが、スバルはよりリアルに衝突試験を理解できるように、ジャーナリストやメディアを群馬製作所の衝突実験場に集めて、衝突試験を公開しました。

公開された試験は65km/hでの40%オフセット前面衝突試験と歩行者用エアバッグの展開デモンストレーションでした。仕様車両のXVです。オフセット前面衝突試験では、フロントセクションが激しく変形しているものの、Aピラーから後ろのキャビン部分の変形はなく、ドアも普通に開け閉めできる状態でした。衝突試験後にドアを開けられるクルマは数多くありますが、開け閉めが普通にできるのは驚異的です。

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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