マリカーのようなカートってシートベルトもヘルメットも要らないのはなぜ?【今さら聞けないシリーズ】

 

ひとつめは道路運送車両法。車両の保安基準などを定めている法律です。この法律ではカートは「原付」となります。

50cc以下のエンジンを搭載しているので、原付としての扱いとなります。原付は二輪車とそれ以外で分かれており、二輪車は総排気量が125cc以下(または定格出力1.00kw以下)、それ以外は総排気量が50cc以下(または定格出力0.6kw以下)の車両となっているのです。

さらにカートの車両サイズは、長さ2.5m、幅1.3m、高さ2mを超えていないので、こちらも同法上の原付に入り、これを超えるサイズとなる自動車には必要なシートベルトや車検がありません。

そして、ふたつめの法律が道路交通法。こちらは道路の走りかたなどを定めている法律です。この法律でカートは「普通自動車」。

同法上では総排気量が20ccを超える四輪車は普通自動車の扱いになります。これによって、最高速度時速30kmや二段階右折といった原付の制限は関係がありません。さらに同法の定めるヘルメットの装着義務は、二輪車が対象となるので関係がありません。

ちなみに、道路交通法での四輪車の原付は、総排気量20cc(定格出力0.25kW)以下となっています。

おわかりいただけましたでしょうか。車両自体のジャンルを決める道路運送車両法と、走りかたを決める道路交通法。このふたつの法律での扱いの違いから、マリカーのようなカートスタイルができあがっているといえます。

(古川教夫)

この記事の著者

古川教夫 近影

古川教夫

1972年4月23日生。千葉県出身。茨城大学理学部地球科学科卒。幼稚園の大きな積み木でジープを作って乗っていた車好き。幌ジムニーで野外調査、九州の噴火の火山灰を房総で探して卒論を書き大学卒業。
ネカフェ店長兼サーバー管理業を経て、WEB担当として編プロ入社。車関連部署に移籍し、RX-7やレガシィ、ハイエース・キャピングカーなどの車種別専門誌を約20年担当。家族の介護をきっかけに起業。福祉車輌取扱士の資格を取得。現在は自動車メディアで編集・執筆のほか、WEBサイトのアンカー業務を生業とする。
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