市販車に搭載される直列5気筒エンジンは少数派になっていますが、5気筒トップとなる最高出力を誇るだけでなく、幅広いトルクバンドにより扱いやすいのも特徴。
また、デュアルクラッチトランスミッションの7速Sトロニック、フルタイム4WDの「quattro(クワトロ)」との組み合わせにより、0-100km/h加速は3.7秒(ロードスターは3.9秒)で、これは歴代TTで最速を誇ります。なお、同エンジンを積む新型アウディRS3セダンの0-100km/h加速は4.1秒で、2ドアクーペらしく軽量、空力性能の利点が活かされています。
外観では、ハニカムメッシュのシングルフレームや専用フロントバンパー、固定式リヤスポイラーなどを装備。足元には、5アームポリゴンデザインの19インチホイールと245/35タイヤを標準装備。注目ポイントは、アウディの量産モデルとしては初めて、テールライトにOLEDと呼ばれる「有機発光ダイオード」をオプションで用意された点でしょう。
一方のインテリアでは、インパネに設置された12.3インチのTFTディスプレイに、スピードメーターやタコメーターだけでなく、ナビなどの多様な情報を表示できる「アウディ バーチャル コックピット」が標準装備されています。
メカニズムでは、最新世代のquattroフルタイム4WDシステムが見どころ。コンパクトで軽量な電子油圧制御式の多板クラッチをプロペラシャフトの後部に配置することで、前後重量配分が最適化されています。
さらに、「TT RS」としては初となる「アウディドライブセレクト」と協調制御することで、「comfort」、「auto」、「dynamic」、「individual」の4つの走行モードが選択可能で、先代モデルよりも緻密な制御を行います。
コーナリング時には、狙い通りのライン取りが可能になるようにトルク配分され、ドリフト状態になった場合でも「ESC(エレクトロニックスタビライゼーションコントロール)」が内輪のブレーキを調整。ボタン操作により、ESCを完全にキャンセルすることも可能で、サーキット走行などでの走りに対応。
また、ステアリングの操舵角度が大きくなるほどレシオが速くなるプログレッシブステアリングも用意されていて、RS専用のスポーティなチューニングが施されています。
ほかにも、電子制御可変ダンパーであるアウディマグネティックライドを標準装備し、「アウディドライブセレクト」を介して減衰特性を変化させることが可能です。
新型「アウディTT RSクーペ」の価格は962万円、「アウディTT RSロードスター」の価格は978万円です。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久、アウディ)