【ロードスターRF試乗】1.5リッターの幌とはどう違う?

マツダのロードスターにRFと呼ばれる開閉式ハードトップを持つモデルが追加されました。RFとはリトラクタブル・ファストバックの意味で、和訳すると開閉できるクーペという意味になります。ファストバックはクーペのなかでもルーフからリヤエンドまでが一連のラインでデザインされているモデルのことを表しています。

マツダ・ロードスターはその前身であるユーノス・ロードスターの時代からさまざまなボディタイプが用意されています。基本はソフトトップですが、その上に手動でハードトップを取り付けるデタッチャブル・ハードトップ、先代モデルに設定されたリトラクタブル・ハードトップ(RHT)、さらにはロードスターでありながらルーフが固定されていたクーペも存在したことがあります。

 

ロードスターというのはオープンカーの種類ひとつで、「屋根を閉めることができるクルマ」のことです。これに対して「屋根を開けることができるクルマ」があります。屋根を開けることができるクルマは、コンバーチブルなどと呼ばれます。コンバーチブルとはコンバート(変換)からきている言葉です。本来、ボディタイプを示すのがロードスターという言葉ですが、マツダの場合は一連のシリーズを示す車名となっています。

さて、ロードスターのRFですが、このクルマは明かにコンバーチブルです。でもロードスターでもあります。なんだか言葉遊びみたいになっていますが、屋根を開けている姿も正しいし、屋根を開けている姿も正しい、そんな気持ちになれるのがRFといっていいでしょう。

ロードスターRFはソフトトップのロードスターと大きな違いがあります。それはエンジンが2リットルになるという部分です。日本で販売されるソフトトップのロードスターは1.5リットルのエンジンのみ、日本で販売されるRFは2リットルのエンジンのみという設定です。RFとなった重くなった部分を2リットルエンジンで補おうというのが目的です。では1.5リットルではその重さに負けて走れなくなってしまうのかと言えばそうではなく、ヨーロッパでは1.5リットルエンジンのRFが売られています。

ロードスターRFは1.5リットルエンジンモデルがもつ、少しじゃじゃ馬的な乗り味や特性をおだやかにして大人の雰囲気を与えたモデルにすることが目的だったのでしょう。ルーフを閉めてしまえば、ソフトトップでは得られない静粛性が手にはいります。ルーフ内側には遮音材なども取り付けるなど、かなり気をつかった作り方をしています。もちろん、最新のセダンほどではないが、ソフトトップよりはかなり静粛性は高くなっています。

エンジンの特性もおだやかで1.5リットルのように高回転まで回さなくても力強く走ることができます。ソフトトップは頑張って走る若々しさ、RFは余裕で走るドッシリさが持ち味と言えるでしょう。

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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