■エレガントなファストバックが、オープンの新しい価値になる!
これこそが、「ファストバックのエレガントなスタイルが、オープンの新しい価値になる」という新機軸のアイディアでした。ただし先代NC型で販売の過半数を占めたRHTの方向転換は、相当難しい経営判断を求めることになります。
そこでデザイン陣は、経営陣に対して3段階のプレゼンテーションを行いました。最初にファストバックのクレイモデルを見せて「カッコいいね」と感嘆させ、次にインテリアモデルの運転席に座らせて「意外に開放感もあるね」と納得させ、最後にRFの独創的かつ上質な開閉動作をCGで見せて安心させることで、経営陣から承認を得たのです。
■CGの中のバーチャルなRFを、マツダの技術で具現化
ただこの時点でのRFは、CGの中の張り子の虎で、架空のバーチャルモデルに過ぎません。製品化には課題山積で、まさに経営陣の承認がRF開発の事実上のスタートとなりました。
実車を見て感じるのは、よくぞキャノピーごと持ち上げながら、精緻で滑らかな動作を実現したということ。実車のRFは、CGと全く同じ動作を再現できているそうですから、開発した技術陣の心意気を強く感じる次第です。
またソフトトップの試作ボディにRFユニットを取り付けて風洞へ持ち込み、空力性能はもちろん、走行中の風切り音やオープン時の風の流れや爽快感といったオープンカーの本質をブラッシュアップしていったのです。