最高速テストでタイヤバースト! 高橋国光ドライブで冷や汗ものの谷田部高速周回路

いよいよスタートした、OPTION大人気の谷田部最高速テスト、その第1回目は、1981年10月号に掲載されました。茨城県にある財団法人日本自動車研究所(JARI)、通称:谷田部の高速周回路をステージに、最高速を正式に計測するテストです。

それまでの最高速といえば、ストリートファイターたちによる、R246青山通りや東名高速道路で繰り広げられていた一般道での最高速バトルでした。しかし、「実際はどのマシンが一番速いのか!?」、当時ターゲットであった250km/hをオーバーするのは、どのマシンなのか!? チューナーやオーナーの意地とプライドをかけてのテストが始まったのです。

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テストドライバーは、自動車メーカーの最高速テストを知り尽くした自動車評論家・望月修さんと、トップレーサー・高橋国光選手です。

しかし、この第1回最高速計測テストは、タイヤや足まわり、各所ブローなどが発生し、この日のトップスピードはTRUST大川トランザムの264.71km/h。しかもこのトランザムには、恐怖のタイヤバーストのオマケ付きです。

1981年8月16日、快晴の谷田部。さぁ、その模様をプレイバックしてみましょう。

 

RE雨宮自動車 RX-7(SA22C)

最高速:234.53km/h

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驚異の加速力!

 

最高速テストの一番手は、RE雨宮のRX-7ターボ。5速7000rpm、凄いスピードでバンクから直線へ。楽に250km/hオーバーのペースだ。油温計が110度以上を指したとたん、ブローアップしたような状態になり、計測地点で突如、白煙を吹いた! バックミラーは煙で見えない。エンジンか。いやターボに異常発生。しかし、スローダウンしながらのこの速さは驚異的。ピレリタイヤは心配なかったが、直線でややフラつくのが気になる。しかし、無念!

SPEC:13Bサイドポート+エアリサーチ製ターボ+シグマ・水冷インタークーラー/250ps以上/オリジナル・ポート加工/ウェーバー48φキャブレター/ボーグ&ベッグ製クラッチ/オリジナル・サスペンション/コーエイCDI/他

 

トランザムSPL by大川(TRUST)

最高速:264.71km/h

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本日のベストタイム! が!! タイヤ、バーストす・・・

「ヤバイ!」バンクから猛烈なスピードで駆け下りた高橋選手ドライブのトランザムSPLが一瞬、グラッときた。タイヤ・バーストだ。直線を必死にコントロールする。さすが国さん!  最高速記録264.71km/hをマークし、再度トライしたときの出来事だった。しかし、この記録はトランザムの大トルクがモノをいっている。バンクで5速4500rpmから全開にすると、計測区間で5750rpmまで引っ張る。オーナー・TRUST大川さんは「レブリミット7000rpm、だけど今日は6500rpm以上でバラつきます」とのことだが、7.6リットルの大排気量で安心して回せるクルマは滅多にない。2回めのトライでバーストしたけど、BFグッドリッチではパワーにタイヤが負けているから要注意だ。

SPEC:V8シボレー467 7.6L/レース用4ボルト式/TRW高圧縮ピストン/鍛造製スペシャル・クランクシャフト/ウェーバー48IDEダウンドラフト4連装/オリジナルINマニホールド/ダグナッシュセイ5MT/4輪ベンチレーテッド・ディスクブレーキ/KONI+モンローダンパー&スプリング/550ps

 

カーショップ311 フェアレディSR311

最高速:200.00km/h

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80年代に蘇るレーシングSR

黄金の60年代を疾走したSR311は、フル・レーシング仕様。U20型エンジンは高回転がややフケずに記録的には不調に終わった。が、久しぶりのレーシングSRは昔を思い出して気持ちが良かった。空力的には200km/hが壁だが、更なる煮詰めに期待!

SPEC:U20改2160cc/ソレックス50φ・メインジェット200-210・エア190-170/圧縮比11.0/200ps

 

パル・インターナショナル プレリュード・ターボ

最高速:173.91km/h

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追い越し加速に注目!

エンジンの非力さに難のあるプレリュードだが、コイツは+ターボでチューン。EK型CVCC IIと日立製HT18-38Bとの相性もいい。3000rpmから非常にコンスタントにブーストがかかる。最高速時は5500rpm程度だが、パワー、足まわりともセッティングは文句ナシ。ストリートチューンながらノーマル・レビン(171.9km/h)より速いのはさすが!

SPEC:日立製HT18-38B/ノーマルキャブレター+オリジナル・フューエルポンプ+プレッシャーセンサー×2/セカンダリー・ベンチュリー燃料増量インジェクター/120ps

 

スピードショップ久保 フェアレディZ 3L

最高速:257.60km/h

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ニッサンL型パワーの元祖、ソレックスチューンの280psだ

L型がこんなにふけるなんて信じられないほどだ。メカチューン280psは音もいい。1周めに257.14km/h、そして2周めにこの記録だ。最高速は5速7600rpm。水温も90度くらいで心配ない。ただ、7300rpmあたりでキャブの息つきが気になった。速いけれど、サスペンションが弱くバンクで全開出来ないのが難点だ。

SPEC:L28改2900cc/ビッグボア・ピストン/ボア×ストローク=88.5×79mm/ビッグバルブ/74度カム/ソレックス50φ/280ps

 

この第1回谷田部最高速テストから始まった最高速競争は、280km/h、300km/h、320km/hへと徐々にターゲットスピードを上げながら突き進んでいくのです。

[OPTION 1981年10月号より]

(Play Back The OPTION by 永光やすの)

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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