スズキがトヨタの「仲間づくり」への参入を表明した理由とは?

今回、トヨタ、スズキ両社が揃って決算発表の場で提携に向けた進捗を明かした背景には、今後の米トランプ大統領の政策による経営への影響が見通せないことや、世界販売台数でトヨタが5年ぶりにVWに首位の座を明け渡したことなども影響しているとみられます。

トヨタは「これまで自前がトヨタの姿だったが、環境が激変する中で生き抜くためには変化に対応する力が必要」として、環境対応や自動運転といった先進技術で、国際的な規格整備などの主導権を握るため、マツダやBMWとも共同開発で業務提携するなど、矢継ぎ早に「仲間作り」を推進しています。

ハイブリッドなど、環境対策システムの販売量を増やすことでコストを引き下げ、車両価格の低減に繋げることにより、欧州勢など競合他社に対抗する狙いもあるようです。

おりしも、同社は自社環境技術の普及や開発投資の早期回収などを目的に、2020年以降、提携関係にあるマツダ、スバル、スズキへの新ハイブリッドシステム供給を予定している模様。

欧米で環境規制が強まる中、提携先のマツダやスバル、スズキが巨額投資を伴う技術をすべて自社で賄うのは難しく、環境対策に伴う開発費が1兆円を超えるまでに増大しているトヨタにとっても、自社製ハイブリッドシステムの外販により、投資を抑制したいところ。

またスズキとの提携次第では、世界販売が昨年の1,017万台を大きく上回ることになり、首位奪還が可能になるだけでなく、スズキのインド市場におけるシェアは47%と強大で、シェアが5%未満のトヨタにとって同社の販売網が使えるのは大きな魅力。

ただ、今回の発表でトヨタ、スズキの両社は今後の関係に関して共に「ゆっくり考える」としただけで、資本提携の可能性については言及を避けています。

というのも、スズキはこれまでのGMやVWとの苦い経験から、資本提携に慎重になっており、トヨタとしても、傘下に軽自動車の販売で同社と競合するダイハツを擁していることから、独占禁止法への抵触の可能性についても検証が必要な状況。

こうした背景から、今後のスズキとの提携に向けた調整では、トヨタはスズキの意向を尊重し、両社で協力し合える具体的な内容を探るのにある程度の時間をかけて慎重に詰めていくことになると予想されます。

Avanti Yasunori

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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