トヨタC-HRと、同じ「TNGA」を使うプリウスの走りの違いを公道でチェック

C-HRのウリは、ニュルブルクリンクをはじめとした世界の多様な道で鍛え上げた走り。とくに高速域からのフルブレーキングや速度域の高い多様なコーナー、アップダウンなどが連続するニュルブルクリンクでは、国内のテストコースで仕上げた足まわりでは力不足であることを実感するシーンもあったそうです。

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C-HRもプリウスも、ともに1.8Lエンジンにモーターを組み合わせたTHSⅡを採用し、トランスミッションは電気式無段変速機。エンジンは98ps/5200rpm、142Nm/3600rpm、モーターは72ps(53kW)/163Nmというスペックで、両車ともに同値。車両重量はC-HRが1440kg、プリウス「Aプレミアム」が1380kgですから、C-HRの方が60kg重くなっています。

C-HRの美点は、乗り心地に良い意味で重厚感がある点。重量が少し重いのと、プリウスの標準シートに対してバケット風のスポーツシートを装着していることもあってシート自体の座り心地の良さ、減衰性の高さも感じさせます。適度な軽さの快適なブーツを履いているような雰囲気。

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C-HRは、フロントにZF製のSACHS(ザックス)ダンパーと大径スタビライザー、リヤにもSACHSダンパー、大径スタビに加えて、ゴムブッシュよりも高い剛性を確保できるボールブッシュをロアアームに採用するなど、SUV化による車高アップに対応しています。

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さらに、リヤアッパーサポートの緩衝材にウレタン素材を採用し、ダンパーの応答性や減衰力のチューニングなど、ニュルブルクリンクで得た知見を生かしてしっかり感がありながらしなやかさを感じさせる乗り味を実現。

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一方のプリウスは、着座位置が低く路面から近いこともあり、軽快感を抱かせる乗り味で、スニーカーのようなフットワークを堪能できます。コーナリング時のノーズの入り方やボディの揺れ戻しなどもプリウスも決して悪くなく、街中ではプリウスの方が走らせやすいと感じるシーンもあります。

C-HRは高速道路を使った長距離移動でも高い快適性や操縦安定性を享受できる一方で、プリウスは着座位置が低く、軽快感があるため、街中でもC-HRから乗り替えると思いのほかスポーティとも表現できます。

どちらが好みかは人によりそうですが、C-HRは視界の高さもあって、よりロングドライブにも向きそう。ただし斜め後方の視界などは見切られていますから、狭い道で使う人が多い人は、プリウスよりも35mmワイドである点も含めて確認したいところです。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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