さて、一方のフリードにも魅力が満載。キープコンセプトといえる外観ですが、よく見るとスタイリッシュな造形でまとめられていて、小さなステップワゴンと言いたくなるひとクラス上の質感も抱かせます。
線や面の複雑な造形はシエンタよりも凝っています。逆に言うとシエンタはあの歌舞伎顔(隈取り)がなければ意外と普通なのかもしれません。
直線基調のインパネも外観同様に飽きのこなそうなデザインで、使い勝手も良好。仕立てやカラーコーディネイトもシエンタのような奇抜さはありませんが、フリードの方が老若男女幅広い層に素直に受け入れられそう。
デザインで言えば、フリード+(プラス)が先代のフリード・スパイクのように差別化をせずに、フリードと同じ意匠になった点が賛否分かれるかも。アウトドア派であってもスパイクのような道具感は要らないという人もいるでしょう。
また、フリード+は2列仕様のみですから、日常使いを考えてフリードと同じ意匠にしたのかもしれません。欲をいえば、スパイクのような遊び系(見た目)のグレードも欲しいところ。
走りはガソリン、ハイブリッドともに十分に満足できるレベルに達していて、とくに2列のガソリンは軽快感があり、素直なハンドリングで最も好印象を受けました。また、ハイブリッドの「i-DCD」の完成度もかなり高くなっていて、出始めとは別モノといえそうなスムーズな走りを享受できます。
3列目のフリードか2列のプラスかで迷う人もいるかもしれません。前者の3列目は非常用の域を出ない座り心地と空間ですし、音や振動面でも上質とは言いがたく長距離乗車は辛いものがあります。
3列目にほとんど乗らないのであれば、最初から2列仕様のみのフリード+を選択する手もありそうです。
(文/写真 塚田勝弘)