長かったようであっという間だった、F1 2016年シーズン。ニコ・ロズベルグ選手(メルセデス)が最大のライバルであるチームメイトのルイス・ハミルトン選手との熾烈なバトルの末、悲願のワールドチャンピオンを獲得しました。
そしてジェンソン・バトン選手(マクラーレン)とフェリペ・マッサ選手(ウィリアムズ)が今季でF1を引退することに……。ベテランドライバー二人がいなくなると寂しくなるなと思っていた矢先、ロズベルグ選手の電撃引退発表!
なんとも衝撃的なシーズンの終わり方でしたよね。
そんなF1 2016年シーズンを12月15日(木)発売の「F1速報2016総集編」と共に振り返ってみましょう!
■新王者ニコ・ロズベルグ、電撃引退発表! 完全燃焼。
初のチャンピオンに輝いて閉幕したアブダビGPから5日後の12月2日。ロズベルグ選手が、「現役を引退する」と自らのツイッターで発表しました。一体なぜ、引退を決意したのでしょうか……。
2014年、2015年とチームメイトのハミルトン選手に敗れタイトルを逃してきたロズベルグ選手。ニキ・ラウダ(エグゼクティブ・チェアマン)は、ハミルトン選手に2連覇を許したアメリカGPからロズベルグ選手の逆襲は始まっていたと述懐しています。
「レース後にニコがエンジニアリングルームに戻ってくると、レースエンジニアの隣に座ってコンピューターのモニターを見ながらこう言っていたんだ。『何が自分に足りない』『なぜ、ルイスはあんなタイムを刻むことができるんだ』とね。ドライバーというのは、自分に自信がなければやっていけない。だから、たとえチームメイトに負けても、その理由を自分以外の何か別なものに転化して自信だけは保とうとする。ところが、あの時のニコは自尊心を捨て、ルイスに勝ちたいと言ってきた。それくらい追いつめられていた。」
セットアップやドライビングに関しても、ロズベルグ選手は妥協をしませんでした。そのことを如実に示したレースが、第15戦シンガポールGP。シンガポールはこれまでロズベルグ選手よりもハミルトン選手が得意にしていたサーキットでしたが、2016年はロズベルグ選手が完璧な週末を送りました。
「ルイスはあの敗戦でようやく気がついた。今までどおりではニコに勝てない、と。それからは、ニコが週末にいつも行っているように、彼もデータとにらめっこし始めたよ」(ニキ・ラウダ)
「ルイスはそれまでセットアップするにあたっては自分の感性を大切にするところがあって、あまりディテールをエンジニアたちにしゃべることはなかった。だけど、マレーシアではマシンの挙動やタイヤのグリップ力について、事細かくレースエンジニアにフィードバックしていた。あんなルイスは初めてだった」(チーフレースストラテジスト ジェームス・バレス)
そして最終戦アブダビGP決勝の夜、祝勝会で思う存分喜びを爆発させたロズベルグ選手は、一夜明けた月曜日、ついに決断を下したのです。
「最初に伝えたのはビビアンとゲオルク(ロズベルグ選手の個人広報)。そして、次にトトに伝えた。25年間レースをやってきて、F1のワールドチャンピオンになることが僕にとって唯一の夢だった。そのために苦しくても我慢してきたし、多くの犠牲を払ってきた。それが今、ようやく実現したんだ!」(ロズベルグ選手)