今回、とくに注力されたのが、後席の静粛性向上。SUVは荷室から大きめの音が侵入してくるため、トランクボードと内装材、サブトランクと内装材の隙間を小さくしたり、荷室からの音の経路を遮断すべく、トノカバーフラップにより後席との隙間を減らしたりしています。
さらに、マツダとして初めて採用されたのが、ドアを閉める際に車内の空気(圧)を逃がすエキストラクターの改良。エキストラクターは車内の圧を逃がすのと同時に、後席に高周波の音が侵入してくる要因にもなります。
先代では、ダイレクトに音が侵入してきたものを新型CX-5では、トリムの隙間を吸音材で埋めただけでなく、通気グリルの位置も極力後方に配置しています。
そして「音の時間変化」にも注目です。車内に侵入してきた音がトリムなどに反射すると反射音になりますが、内装材の吸音力を高めることで速やかに音を低減。具体的には、天井にあるトップシーリングの吸音特性を高めることで車内の音を素早く低減させているそうです。
前席だけでなく、後席の静粛性を高めることにより、高速走行時でも容易に前後席間で会話が楽しめるようになったのは朗報でしょう。
車内の音の減衰特性が進化したのは、ドアを閉める時の音を素早く低減(減衰)させることによって実感できるはずとしています。運転席、後席に座って何度か開け閉めしましたが、密度の濃い「バッフッ」という音は確かに静かで高級車の香りがしました。
(文/塚田勝弘 写真/ダン・アオキ、塚田勝弘)