日産自動車は、自動車エンジンの生産工程で使用するホーニング加工技術のライセンスを工作機械メーカーのエンシュウに供与すると発表しました。
エンシュウは今回の日産からのライセンス供与を受けて、ボーリング加工とホーニング加工の工程を集約するホーニング機能付きマシニングセンタ(自動工具交換機能を備え、ボーリング加工、フライス加工などの異なる加工を行うことができる数値制御工作機械)を市販する予定です。
ホーニング加工とは、自動車エンジンの重要な構成要素であるシリンダーブロックの内径を研磨する技術。一般にホーニング加工は、回転軸の周囲に円筒状に配置された砥石を研磨対象の円筒内面に押し付けることで、シリンダーブロックの内径を研磨します。
従来のシリンダーブロックの内径加工では、シリンダーブロックの荒加工を行うボーリング加工用のマシニングセンタと、仕上げ加工にあたる研磨用のホーニング加工機の2種類の工作機械が必要でした。
日産とエンシュウが共同開発したマシニングセンタは、1台のマシニングセンタのみでシリンダブロックの内径を荒加工と仕上げ加工を一連の工程で加工することが可能となりました。
これにより、日産のライセンスを利用したマシニングセンタでは、仕上げ精度の向上、異なる内径エンジンの混流生産、設備移設の簡便化、投資額の削減という効果が得られるとしています。
日産は、自社が保有する技術・ノウハウの利用を促進することで技術発展に寄与するとともに、ライセンス供与で得られる収入を新たな技術開発に投資して自社の技術開発を高めていきたい、と今回のライセンス供与に対する姿勢を説明しています。
通常、自動車メーカーは自社開発技術のライセンス、特に今回のようなエンジン生産の重要工程に関するライセンスを他社に供与することは稀なことで、業界では今回の日産のライセンス供与が話題になっています。
(山内 博・画像:日産自動車、東大阪市技術交流プラザ)