スタイリングを一新した新型セレナのデザイン・インタビュー。後半はボディサイドからインテリアに迫ります。
[語る人]
日産自動車株式会社
グローバルデザイン本部プロダクトデザイン部
プログラム・デザイン・ダイレクター
入江 慎一郎
── ボディサイドの話を続けます。屋根を浮かす『フローティングルーフ』は比較的コンパクトなクルマで有効とされますが、このサイズであっても必要ですか?
「これは日産車のグローバル・デザイン言語ですが、今回は国内専用であるセレナでも同等の表現にしたかった。また、新型は重厚さやボクシーさよりも、スポーティさや開放感を優先させたかったと」
── ブラックアウトしたAピラーについて2点。まず、ピラーはすべて黒いのではなく、ルーフの手前からボディ色になっていて、若干中途半端に見えますが
「たとえば、GT-Rのようにルーフラインでスッと色を切ってしまうと、ボディとルーフが完全に断絶してしまって弱さを感じてしまう。ミニバンはモノフォルムに近くノーズも短いので、それが強調されてしまうのです。その点を試行錯誤し、ここに落ち着きました」
── もう1点はAピラーの付け根で、フェンダーとの段差が大きく、クルマとしては異例に強い鋭角表現になってしまいました
「はい、機能的な制約もありそうなっていますね。ただ、それよりもフロントランプからショルダーへの流れを強調したかった。そのためにピラーの下端はわざわざ別パーツとして作って横へのラインを入れているんです。本来はひとつのパーツでも可能なんですが」
── 途中で止まったリアピラーと縦長のリアランプの組み合わせですが、リアガラスが上下に広く、支えるパネル面がないので少々不安定に見えます
「リアガラスは、後方の広い視界を表現するためにこれ以上ボディパネルで狭くしたくない。不安定さについては、リアピラーをしっかり太くすることで支えられていると認識しています」