2つの向かい合ったプーリーによって無段変速を行なうCVTのレシオカバレッジを広げるには、基本的にはプーリーの軸距離を大きくする必要があります。しかし、スバルの縦置きCVTはスペースに制限があり、プーリー間の距離を伸ばすことは難しいのです。
そこで、新型インプレッサではプーリーをつなぐチェーンを見直しました。従来よりもショートピッチなチェーンを使うことで、小さな輪を作ることができ、同じプーリーでもレシオカバレッジを広げることができたのです。また、ショートピッチチェーンはノイズの低減にも効果的で、静粛性の向上にもつながるという一石二鳥のアイテムなのです。
エンジニア氏によれば、「今回のトランスミッション改良はJC08モード燃費においてはそれほど貢献しないかもしれない」といいます。では、なぜゆえに8割も新造するほどの改良をしたかといえば、ユーザーのため。「実際の燃費にはレシオカバレッジの拡大は効いてきます。今回、燃料タンクを5Lほど小さくしましたが、燃費性能の向上もあって実際に給油するスパンは従来同様となっています」と自信満々に教えてくれました。
(写真:前田惠介 文:山本晋也)