今回の改良では、走行モードを変えるスイッチがステアリング上に移設されただけでなく、スポーツクロノパッケージ装着車には中央ボタンを押すと20秒間だけ最大ブーストが維持されるという新スキルが実装されています。
ETCゲートのバーが上がるタイミングに合わせて何気なくポチッてみた瞬間、ギヤは1速まで落ち、メーター上では「20」のカウントダウンがスタート!
直感的にヤバイ雰囲気を感じ、そ~っとアクセルに足を添えただけでも強烈なGがワタクシを背もたれに押し倒し、料金所から競走馬のように飛び出しました。
残り時間が平穏に過ぎるのをじっと耐えようとも思いましたが、その強烈な加速でも一切ブレないステアリングに安心を感じたのも事実で、頭の奥底で「踏めぇ~!!もっと踏むんだぁーーーーー!!」と叫ぶ自分がいる(チョット大げさ)。
残り19秒。覚悟を決めて、アクセルをググ~ッと踏み込んでいく。エンジンを車体の中央寄りに配置するミッドシップレイアウトの前後重量は(前軸:630kg、後軸:780kg)と後ろが重めで、加速時はさらに荷重が車両後方へ加わるのですが、前輪の手応えはなくならず、ビタッと張り付いているような感覚はそのままに速度だけが上昇。
7速PDKが瞬時にギヤを上げていき、爆音を置き去りにするかのように一直線に加速。まるで世界が止まってしまったかのような錯覚の中、走行車線を走るクルマを次々と追い抜かし……いや、取り残して100km/hに到達。
メーターに表示される「15」という残り時間を見て、そもそも0-100km/hが4.2秒という性能の高さに加えて、新スキルのぶっ壊れ具合にただビックリ!
これまでの「ボクスター」の歴史を塗り替える新型の実力に直接触れられた幸せを、頭上に広がる青空を仰ぎ、歓喜しました。
そんな刺激的な一面だけでなく、エコ性能の向上も新型の見所。
7km/hを下回ると作動するアイドリングストップ機能はもちろん、7速PDK仕様の場合は高速道路の巡航で積極的にクラッチを離して惰性での走行を行なうのですが、再加速で一切のシフトショックを起こさずにクラッチを繋げるという妙技が見事。今回の改良でその走りの幅は広がり、さらに深みも増しています。