【80年代グラフィティ400・その2】SUZUKI GSX400E

Z400FXの人気で世の中、400は4気筒だろう、なんて流れになりました。でも、そんな簡単に4気筒って作れません。

400の4気筒ってコストがかかってしまうし、部品が多くて抵抗が増えてしまうから性能がキチンと出せなかったりしました。

だから他のメーカーは最初、指をくわえてZ400FXの人気を眺めているしかありませんでした。

でもスズキは「だったら性能でFXをやっつけてやれ」って考えました。

そして出てきたのがこのGSX400Eっていうわけです。このバイク、2気筒だったけど最高出力44馬力。FXが43馬力だったから1馬力超えていました。

当時はね、この1馬力がけっこう大きかったんですよ。皆愛車の馬力を自慢していたから疾いバイクは1馬力でも大きしよう、って感じだったんです。

ちなみにGSXは2気筒だったけど400としては初めて4バルブを採用していました。

このツインエンジンの魅力は最大出力じゃありませんでした。低中速のトルクが太くでものすごい加速をしたんです。当時、友人のバイク借りた時の感動は今でも忘れません。

アイドリングぐらいからでもクラッチをつないでアクセルを開けるとドカドカと元気な排気音を響かせながらもの凄い力強さで走り出します。これだけで楽しいくらいに低中速が力強い。

でも本当に圧巻だったのは全開加速したときでした。

交差点で青になった時、回転上げてクラッチをつないだとします。タイヤがあたたまっていなければ簡単にホイルスピンします。タイヤがグリップしたらすぐにフロントタイヤが持ち上がります。

ローギアで加速している時はずっとフロントが浮きっぱなし。セカンドにシフトするためにクラッチを握ったらフロントタイヤがやっと接地して飛行機の着陸の時みたいにタイヤがキュキュッと泣いたりするわけです。

「物過ごいバイクだな」って思いました。それまで400じゃ体感したことがない速さだったんです。

かの有名な世界的チューナー、故ポップ吉村氏は「400は二気筒で十分だ」って豪語してGSXをベースにレーシングマシンを製作。

その後登場したホンダCBXベースのワークスマシンと戦ってました。その姿は格好良くてね、わたしゃサーキットまで見に行ったもんです。