【80年代グラフィティ400・その1】KAWASAKI Z400FX

最近、旧車が人気です。若い人達でも旧車に乗ってみたいという人が増えました。でも、そのオートバイのことを噂だけで判断している人が多いように思います。

そこで当時のことを思い出しながら名車達のことを説明しようというのがこの企画です。

記念すべき第一回目はカワサキZ400FXです。

80年代は空前のオートバイブームでした。実はそのキッカケを作ったのが70年代後半に登場したカワサキのZ400FXです。

この当時、大型免許は教習所で取れませんでした。難しい試験をパスしなければならず合格率は数パーセントなんて言われていたほど。結果、普通の人たちにとっては400ccが実質的な最大排気量のバイクだったわけです。

ところが70年代のバイクってどれも2気筒。パタパタ音がしてどうも安っぽい。

憧れのナナハンみたいな排気音するバイクはないもんか、って皆思っていて、そんな時、カワサキが400ccの4気筒を出したわけです。大騒ぎになりました。

エンジンは4気筒でシューンと振動もなく走るし回せばクラス最速の加速。そして400に見えないくらい大きな車体。発売された瞬間バックオーダーになってしまうほどの人気になりました。

実は私、この時FXを購入したんですが、もう大変でした。

学校に行くと知らない女の子から声をかけられるんです。

「FX買ったんだって? 今度乗せてね」

それも一度や二度じゃありません。金曜日になると暴走族から自宅に電話がかかってきました。

「明日、大きな集会があるんで、是非FXで参加してください」

祭りの時は知らないヤンキーのにいちゃんにからまれたことがありまして、そしたら隣にいた人が「おい、この人はFX乗っているんだぞ」って言ったんです。「え、そうですか。失礼いたしました」っておさまってしまったり。F

Xには人生を変えてしまうような力があるんだな、って真剣に思ってました。

この様子を他のメーカーが黙って見ているはずがありません。打倒FXを合言葉に色々なマシンが登場してきます。

そしてライダー達はどんどん熱狂し、これが80年代のバイクブームにつながっていくわけです。

私、フェラーリを所有したことはありませんが、当時の田舎じゃフェラーリなんかよりもすごい神通力がありました。

あれを知ってしまったおかげで今もバイクから離れられないでいます。今でもFXよりもすごい神通力持ったバイクには出会ったことがありません。

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(ライター:後藤 武/Moto Be バイクの遊び方を提案するWEBマガジン

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