さかながテーマのクルマその3「アメ車」2車種【F2P Vol. 18】

かつて、アメリカにはビッグスリーに加え第4メーカーが存在しました。 アメリカン・モータース、略してAMCで、もともとはナッシュとハドソンが合併してできました。

ナッシュがピニンファリーナ・デザイン、ハドソンは床をフレームより低めた、『ステップダウン』なるユニーク構造を採用しましたが、異名同車となり、やがてAMCブランドとなります。

AMCがサブブランドとして立ち上げたのが「ランブラー」ですが、ひとり歩き、いや走りを始めます。「マーリン」も60年代のコンパクトスポーティの波にのったクーペでした。

AMCのランブラー・マーリンのデザイン特徴はファストバック・リアウインドウでした。クライスラーのダイムラー時期、旧Eクラスのプラットフォームを使ったのが“クロスファイアー”で、ファストバックウインドウは、マーリンの再来といわれたものです。
AMCのランブラー・マーリンのデザイン特徴はファストバック・リアウインドウでした。クライスラーのダイムラー時期、旧Eクラスのプラットフォームを使ったのが「クロスファイアー」で、ファストバックウインドウは、マーリンの再来といわれたものです。

マーリンとは、クロカジキ科のさかなです。文豪ヘミングウエイの『老人と海』の主人公の釣り針にかかるのがマーリンです。最大5m、800kgに達する大物です。クルマのマーリンは、AMCミッドサイズ・プラットフォームを用いたクーペで、1965-67年にわたって販売しました。

66-67マーリンのボンネットには、カジキをアブストラクトしたマスコットが立っていました。65-66マーリンのデザインで特徴的なのはファストバックのリアウインドウです。ミッドサイズ・スポーツクーペは、マスタングなどのポニカー、ビッグ性能型に挟まれた半端な存在で、マーリンも3年で終了しています。AMCは、カイザー・ジープを併合しますが、のちに仏ルノーが買収します。ルノーをもってしても、AMCの再興はできず、クライスラーに売却します。

これがカジキ科のマーリンです。
これがカジキ科のマーリンです。

(山口京一)