年々、電子化するクルマには、車載OSが欠かせませんがPCやスマホのように車載OSでシェアを握れば、電子化したクルマのキモを抑えることが可能で、ITS(高度道路交通システム)や自動運転の分野で主導権を握り、クルマを使う人の情報(ビッグデータ)を手にできます。
さて、こうした状況に自動車メーカーで最も素早く対応してきたのが、フォード(マイクロソフト系のSync)とトヨタで、今回マイクロソフトと新会社を設立することで、「巨人」Googleに対抗するのが狙いではないでしょうか?
新会社「TC」は、トヨタのIT事業会社であるトヨタメディアサービスとマイクロソフトの合弁会社で、車載通信機(DCM:データ・コミュニケーション・モジュール)が装着されたトヨタ車やレクサス車から得られる様々な情報を集約する「トヨタ・ビッグデータ・センター(以下、 TBDC)」の運用、そして豊田社長が常に口にする「もっといいクルマづくり」に向けたビッグデータの研究、活用していく、としています。
トヨタはすでに「T-Connect」対応ナビなど、新世代の車載向け情報サービスを展開していますが、ユーザーにとってはビッグデータを活用した正確なプローブ情報を得られることで、精度の高い渋滞回避ルートが提供されるなどが考えられます。
新会社は従来からのトヨタとマイクロソフトとの協力関係の上に成り立っているという関係で、会長(友山茂樹氏)や社長(ザック・ヒックス氏)はトヨタから派遣。
「GAZOO.com」時代と同様に、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Azure」を採用するほか、マイクロソフトの技術者が、データ解析やモバイル技術などの広いエリアでTCの業務をサポートしていくそうですが、やはりマイクロソフトの協力を得ながらGoogleに対抗していくように見えます。
事業内容は、車載サービスやテレマティクスはもちろん、クルマと家や「IoT」の接続、パーソナライズ化、健康と安全、クルマのスマートシティへの統合、関係会社への様々なサービス、フリートサービスなどにまでおよぶ予定で、現在行われている人工知能やロボット研究へもサポートを実施していくそうです。
(塚田勝弘)