イグニス革新のデザイン。これはもう日本車じゃないですから(笑)

──では具体的なカタチの話を。基本モチーフは同じでも、ボクシーなアルトに対し全体を曲面でまとめました

「たとえば、宇宙服のヘルメットのような大きな球体を、横からスパッと切ったイメージです。これによって、ミッドセンチュリー的な未来感や強い塊感が期待できる。軽よりもサイズに余裕があるAセグだからできた造形ですね」

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──セルボから採った80年代風の「閉じた」フロントグリルは、デザイン的に不自由な表現と言われてきましたが?

「たしかに、異型ランプの登場は造形の自由を手に入れましたが、それもやり尽くした感がある。一方で、フォードのマスタングなど一部ではグリルの原点回帰が見られます。それに同じシールドビームでも、いまはLEDなどパーツの技術が進化してますから、グリル内の表現の幅もずいぶん広がっているんです」

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──東京モーターショーに出展の特別仕様ではホイールアーチモールが付いていましたが、市販版はありません

「デザイナーとしては四駆らしく見せるために是非付けたいところですが、日本ではこの部分にエアロパーツを付けたいという要望が多いんです。ただ、モールがなくても貧弱に見えないよう、ホイールアーチは強い折り返しのプレスを使い、また単純な円ではなく少しだけ角を持たせた安定感のある形状にしています」

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この記事の著者

すぎもと たかよし 近影

すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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