今回用意してもらった試乗車は、3.5L V6エンジンとモーターのハイブリッド「450h バージョンL(843万5000円)」。
システム最高出力は348psと同じくハイブリッドの「300h」より高性能。ただし、エンジンは「RX450h」が積む新開発エンジン(2GR-FKS)ではなく、マイチェン前モデルが積む2GR-FXEをキャリーオーバー。
ハイブリッドとしての上質な乗り味は健在で、重さを感じさせずにスルスルと加速し、減速もペダル踏力に応じて自然に速度を落としていけます。もちろん燃費も競合車と比べて引けはとりません。
とはいえ、約2000kgのSUV「RX450h」が18.8km/Lを誇るのに、約1800kgの「GS450h」が18.2km/L。「GS350」に新エンジン(2GR-FKS)を採用したのだから、ついでに「GS450h」にも……と思わずにはいられないところ。
そう聞くと、今回のマイナーチェンジがそれなりに思えてしまいますが、実はボディづくりそのものも最新のレクサス仕立てになっているのです。
ボディにはレーザースクリューウェルディングと構造用接着剤を採用したうえ、スポット打点も追加。剛性が高まったボディは、月並みな表現ですが、常にガッチリしています。
おまけにシートが絶妙!! 座面とサポート部そしてヘッドレスト。各部位で感触が異なり、身体をゆったりと包み込む。後席の足元に余裕は少ないですが、シートの感触は同様。
「これが高級車か~」と気分上々で運転していると、さらなる新発見が!
それは、妙に車内が静か……。耳を澄ませると、エンジン音やロードノイズは聞こえるが、すれ違うタクシーやトラックの音が聞こえてこない。スクーターの音がやっと聞こえる程度まで、遮音が徹底的に行なわれていました。
高級車と聞くと、とにかく見た目の派手なものが取り上げられますが、静かな空間で好きな音楽をかけてゆったりと移動することこそが高級車ならではの持ち味なのでしょう。距離に関わらず移動手段としては極楽。
とはいえ、気に入らない部分もありました。それがステアリングフィールです。
左右に5度程度ずつ遊びがあり、荒れた路面では車体がビクともしないのにステアリングだけがフラフラと落ち着かない。ゆっくり切り込んでいくと、クッと急にタイヤとリンクしたかのような違和感もありました。
後日乗った「GS F」ではそんなことはなかったので、もしかしたらグレードごとの仕様なのかもしれません。
「GS」をきっかけに始まったレクサス流の仕立て。さらに、噂に聞くレクサスの販売店の神対応。
日本では2005年に本格的にスタートした新進気鋭のブランドとはいえ、それらは着実に浸透していて、例えば新成人を対象としたアンケートではBMWに次いで人気の高級車として名が挙がっています。案外、レクサスが首位に立つ日は近いのかも。
そんなことを思いながら、訪ねたガソリンスタンド。クルマを返却する前に給油と洗車をお願いしたのですが、店員の方がにこやかに「コチラは輸入車なので洗車料金は……」と言うではありませんか!?
「え!? いや、コレ……」(やっぱり、もう少し時間かかるかも)
(今 総一郎)